CONTENTS INDEX
part1. 評論『3DCG全盛の今、人はなぜ人形アニメに魅せられるのか』清水節

part2. 作品レビュー:チェコ・アニメ編

part3. 作品レビュー:ロシア・アニメ編

part4. チェコ&ロシア・アニメを代表するアーティストたち

part5. 配給会社・宣伝マンが語る作品の魅力とウラ話

part6. ヤン・シュヴァンクマイエル監督来日会見レポート

part7. 『ニャッキ!』の伊藤有壱が語るチェコ&ロシア・アニメ







取材・文/赤平美紀(編集部)
text by Miki Akahira





ヤン・シュヴァンクマイエル監督
チェコを代表する鬼才ヤン・シュヴァンクマイエル監督が、待望の新作『オテサーネク 妄想の子供』を携えて来日。チェコで語り継がれている民話をモチーフに、不妊症で悩む現代の夫婦が引き起こす惨劇をブラック・ユーモアを交えて描き出す異色作だ。今作の誕生秘話や作品に込めたメッセージなどを、シュヴァンクマイエル監督自らが語る!
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 今作で美術監督を務めているエヴァ夫人とともに来日したシュヴァンクマイエル監督。実は、今作を誕生させるきっかけを作ったのはエヴァ夫人だったのだとか。

「『オテサーネク〜』を作ろうと思ったのは80年代だった。ただ、最初にその考えを提案したのは妻のエヴァなんだ。彼女はチェコに伝わる民話『オテサーネク』をもとに短編を作ろうとしていて、私に助けを求めてきた。彼女は、この民話をさらに残酷なものにしようとしていて…それは彼女が子供っぽいものが嫌いだからなのだが、私に脚本を書いてくれと。そこで私は改めてこの物語をじっくりと読んだ。読んでいくうちに、今までは表面的な部分しか読んでいなかったこの物語に、実は非常に深いメッセージが込められていることに気がついた。そしてすっかりこの物語の虜になってしまった私は、彼女にこのアイデアを渡すのが惜しくなって、ついには彼女からこのアイデアを奪ったというわけだ」

 シュヴァンクマイエル監督作品は、これまでにも神話や民話をモチーフにしてきている。監督を惹きつける神話や民話の持つ力について、監督自身はどのような考えを持っているのだろうか。

「どんな社会でも根底にあるのは神話や民話。これらが無意識に守られていく限り、社会が存在していく。それは、小さな社会に限らず大きな文明の場合にも言えることで、何らかの危機に陥った時に、人間は神話や民話の新解釈を求めるのではないかと思う。私たちが生きている文明の根底には、自然に対する人間たちの反乱という神話が根付いているから。『オテサーネク〜』の場合も同じで、子供に恵まれない夫婦が、一番の神秘である生命の誕生を自然から奪った。モノである木の切り株に生命を吹き込むという、彼らの反乱を描いたものだ。だが、この解釈は私だけの解釈で、無意識と関連があるものだからこの作品はこう解釈すべきであるとはきめつけたくない。“オテサーネク”は単なるシンボルであって、何かの象徴にすぎないのだから。もしそれを切り株ではなく他のものに変えれば、また新しい解釈が生まれてくるはずだ」

 
『オテサーネク 妄想の子供』
子供のいない夫婦が木の切り株を子供にして育てると、大鍋のおかゆをたいらげ、犬や豚や農夫、両親までも飲み込んでしまう。最後は農婦のスキでお腹を割られ、飲み込まれていたものが外に出てくるという、民話をモチーフにした今作。アニメと実写を融合させ、木の切り株を子供として育て始めた夫婦が引き起こす惨劇を、少女の視点から描き出す。生命を得て動き始める切り株に偏執的な愛情を注ぐ母親の姿が衝撃的。ユーロスペース他にて11月3日(土)より公開
 
 作品の中で性欲というものをコミカルでシニカルに描いているのも特徴的だ。
  「セックスと性とエロチシズムは、すべてが別のものだと私は思っている。私の作品の中にはセックスそのものは入っていない。エロチシズムのないセックス、つまり性交は体操と同じだからね(笑)。だから私の作品にはエロチシズムをたくさん入れているんだ。エロチシズムは非常に身近なもので、自由と解放と並ぶ芸術のテーマひとつであると考えているよ」

NEWS! ヤン・シュヴァンクマイエル展開催
『オテサーネク 妄想の子供』の公開に合わせ、本作のメイキング写真や、過去の作品も含めた貴重なチェコ版オリジナル・ポスターなどを展示。ビデオや書籍などの販売も有るので、さらにシュヴァンクマイエルの世界に浸ってみては。10月5日(金)〜11月25日(日)、朝10:00〜夜7:00まで。会場は、渋谷道玄坂ロッテリア先・スヤマビル2F。入場料無料。展覧会のお問い合わせは、月刊ヒッティ編集部(03・3511・0088)まで。







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