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プロローグ「見ることよりほかに」
第1回 「平壌ドボン」
第2回 「パレスチナの青い空」
第3回 「哀しき熱帯」
第4回 「愛すべきならず者たち」
第5回 「平壌でボッタクリ-崩壊か開放か」
特別編 「水汲みロイちゃん〜アフガニスタン・カブール陥落に思う〜」
第7回 「誰も俺たちを撃たない」
第8回 「NGOは誰のため?」
第9回 「アフガンは笑う」
第10回 「私の中のテロリスト」






2002.7.25 UPDATE



後藤和夫
text by Kazuo Goto






イスラエル兵に銃口を向けられること数回。
パレスチナから帰ってきました
 
Ж皆様お元気ですか?

パレスチナから帰ってきました。アラファト議長解放、ベツレヘム聖誕教会の解放後、パレスチナに対する関心は薄まっているようですが、一昨年の9月からのインティファーダが始まって以来、今最悪の事態を迎えています。

ジェニンの虐殺が大きく報道されましたが、今その虐殺と同じことが、西岸の7つの都市、ガザで連日起こっています。街には外出禁止令が発令し、人々は一日のうちに数時間しか外に出れません。禁止令が発令すると、戦車と装甲車がすさまじい勢いで侵攻してきます。NGOやメディアも厳しく制限されています。
今やイスラエルのやっていることは、アパルトヘイトを超えて、ジェノサイドと言わざるを得ません。
そんな中、外出禁止令下のベツレヘムでうろうろしていました。現地のパレスチナのカメラマン以外のメディアにも会いませんでした。
イスラエル兵に銃口を向けられること数回。一度は、子供しか外に出ていない難民キャンプに向けて戦車が激しく銃撃を与えました。私にもその銃弾は向けられました。これは、アメリカ・イスラエルが言うテロリスト掃討作戦ではまったくありません。
パレスチナ人という人間の存在を認めない民族浄化です。ガザでは、毎日毎朝、戦車とブルドーザーが、もうこれ以上何も失うもののない人々の家を破壊しています。エジプトの国境にあるラファでは、全壊した難民キャンプの真ん中にイスラエルの国旗が立ち、監視塔を立て、近づくものすべてに容赦なく銃撃を加えています。私たちにもそれは注がれました。
これはまったく国際法を無視した暴挙です。

Ж帰りのベングリオン空港で時間待ちをしていて、隣に座ったイスラエル人と少し話をしました。「お前さん分かっているのか、イスラエルがパレスチナを占領してるんじゃないぞ、パレスチナ人というイスラム教徒がイスラエルを占領してるんだ。奴らが占領した町に行ってみろ、すぐに殺されて首を切られる。奴らはどうしようもないテロリストなんだ。テロリストたちが我々の国を脅かしているんだ」
特に過激な思想の持ち主ではありません。空港職員の手際の悪さに怒るごく一般的な
イスラエル人です。ごく常識的なイスラエル人がこう思っているのです。
もし、この空港にナチ親衛隊の制服を着た集団が行進したらどうなるか。
聞いてみたくなりました。「あなたたちが選んだシャロンはまさにそうしたことをやったんですよ」と。

先日ピースボートでイスラエルから乗船した若者に、僕がずっと撮ってきた「パレスチナで起こっていること」を見せました。すると彼は「後藤さん、僕らイスラエル人は西岸やガザで起こっていることはまったく知らされていないんです。僕らにパレスチナ人に起こっている情報は入ってきていないんです」と言い驚いていました。すべての人間がシャロンやブッシュやラムズフェルドのように、傲慢で恥知らずなファシストではありません。多くの常識のある人々が知らないのです。その情報が行き届いていないのです。これをどうしたらいいのか。
メディアの挑戦はまだまだ前途多難です。

Жガザにも当然ながら夏が来ます。たくさんの家族が海水浴を楽しんでいました。子供を愛し、家族を愛し、夏のひと時を平和に過ごしたいと願う、ごく普通の人間の姿がありました。同時にテルアビブの海岸にも西岸で起こっていることなど少しも知らない若者たちが「太陽がいっぱい」をしていました。どちらも同じ人間でした。
どうしてパレスチナ人だけがテロリストなのか。
彼らを人間だと思わない奴らがいる。そう思いたくない国家元首がいる。
アメリカはイスラエルの民族浄化を反テロ戦争だと支持し、惜しむことなく武器供与を続けています。なぜか。
 
『戦争とプロパガンダ2』
エドワード・W・サイード
中野真紀子訳
みすず書房
1200円(税抜き)
アメリカもまたインディアンという人間たちを民族浄化して来た国だからでしょう。そんなアメリカの中東問題解決策にオスロ合意も知らなかった小泉君は評価を表明する。お前なに知ってるのよ!
何かが狂っています。

今回のパレスチナ体験は編集を終えてテレビ局に渡してあります。
放送が決まったらまたお知らせします。

またパレスチナにご興味のある方はE・W・サイードの『戦争とプロパガンダ2』(みすず書房)という本をお勧めします。現在のパレスチナについての唯一といっていい正確な本です。

暑い夏、お身体大切に。


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