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| 「困るじゃない、ドンパチ撮りたいのよ俺たち」 |
Ж 10月4日、俺たち3人はガザに入った。一人は初めてのカメラマン。もう一人は以前1回俺の助手を勤めてくれたディレクター。俺にとっては4度目のパレスチナ。
パレスチナではいつ闘争や銃撃が起こるかわからないので、それぞれがカメラを持っていた。一人でも取材できるようにしてある。誰かが撃たれても大丈夫なように?
9月11日のアメリカ同時多発テロ、イスラム過激派の犯行? 喜ぶパレスチナ人? 果たして実情は? というのが今回の目的だった。
同時テロがあったとき、DFLP(パレスチナ解放民主戦線)の犯行だという報道がすぐさま流れて、すぐさま否定された。その後、アルカイダの犯行ということになって主犯はビンラディン、アフガン潜伏、タリバン掃討となったのは周知のことだ。
それじゃなぜ、DFLP犯行説というデマがすぐさま出たのか。なぜパレスチナゲリラなのか。
それは、アメリカがパレスチナに攻撃を受ける理由があるからだ。身に覚えがあるからだ。
アメリカの誰かがすぐさまそう思い、リークしたのだ。大体誰だか俺にはわかる。
事実、パレスチナの多くの人々はアメリカ政府を憎んでいる。
イスラエル建国を真っ先に認めたのもアメリカ。度重なる中東戦争で武器援助をしたのもアメリカ。国土の56%がイスラエル、42%がパレスチナという「パレスチナ分割」国連決議をイスラエルが破っているにもかかわらず、それを黙認し援助を続けるアメリカのダブルスタンダード。それに追従する西洋社会。フセインの侵攻にはすぐさま反応するアメリカなのに、イスラエルの侵攻は見ぬふり。子供でもこの不平等はわかる。
CNNで、喜ぶパレスチナ人の映像が流れた。パレスチナ人はアメリカがテロにあって喜んでいる? 当然だ。
今も飛び交う銃弾、侵攻してくる戦車、ミサイルを撃ち込むF−16戦闘機、どれもこれもメイド・イン・USAなのだから。
パレスチナ人の中には、イスラエルの占領・抑圧・攻撃はイコールアメリカの横暴なのだ。
事実だからしょうがない。
だが、そう思っているからといってパレスチナがこれ以上標的にされてはかなわない。アラファト議長はテロ後すぐさま哀悼の意を表し、パレスチナゲリラの犯行でないことを断言し、国内外のあらゆるテロを糾弾・撲滅すると声明を出したのだ。立派なたぬきなのだ。
しかし、喜んでいるが、それはあくまで感情であって、それがすぐさまパレスチナの実情を変えるということにはならない。はっきり言えば、確かに「ザマアミロ」なのだが、まあ、あまり関係ない。ワールド・トレード・センターで6000人死のうが、こっちはもっと死んでいるのだ。
あっちはあっち、こっちはこっちで忙しい。目の前のイスラエルの横暴に対して戦うことが先決だ。とにかく50年間も独立できずに来てるんだ。その直接的な戦いは、昨年9月から続いているインティファーダ(民衆蜂起)だった。
俺は昨年来それを見てきた。パレスチナ自治区の中に次々と建設されるイスラエル人入植地、それを守る名目で駐留する軍隊、幹線道路の厳しいチェックポイント、経済封鎖、嫌がらせ、その上、イスラムの聖地「岩のドーム」へのシャロン現首相の、訪問という名の挑発。「ここもイスラエルのもんじゃい!」とシャロンはわめいた。
長い抑圧に恨みを溜め込んだパレスチナ民衆がキレた。
大人に混じって子供たちも石を投げ闘争を始めた。各ゲリラ組織は、武装闘争を活発化させた。それまで年に1、2度だった自爆攻撃はこの1年で10数回にも及んだ。
それがインティファーダ。抵抗運動。
Ж その日ガザに入り、懐かしいドライバーと再会。
「よし、今日はどこでドンパチ?」
と、ここでよかったら、『見ることより他に』の「第2回 パレスチナの青い空」を読み直してほしいが。俺の初めてのパレスチナ行きの報告だ。
「ドンパチ、もうない、もう危ない、もし石投げたら、イスラエル側は戦車で撃ってくるは、ミサイル飛んでくるは、で話にならない。だから今子供たちは静か、誰も行かない」
以前は投石に対して、ガス弾、ゴム弾、時々実弾というものが、今は本気で機関銃、ミサイルという風になっているらしい。
ガザの町を流すと、国道沿いにイスラエルの装甲車が噴煙上げて走っている。かつて、歩いて行って、質問をぶつけたイスラエルのトーチカ付近は、車を停車することも禁じられているという。近づくと容赦なく撃つという。つい最近フランス人ジャーナリストが足を撃たれたとか。実情は悪くなっている。自治区なのに、イスラエル兵が戦時下の占領地のように軍事管理している。だから一見、静か。
「困るじゃない、ドンパチ撮りたいのよ俺たち」
「お客さん、贅沢言ってもらってはこっちが困る、今は本当に死ぬ、危険いっぱい」
って、馬鹿な日本人ジャーナリストのリクエストは無視される。
「じゃあ、みんなおとなしく我慢、我慢なわけ?」
「いや、ゲリラ戦。自爆攻撃している。今日難民キャンプでハマスの特攻隊の葬儀ある、それ面白い、重要な取材よ」って、お前がディレクターかよ! |

いたる所にイスラエルの装甲車。パレスチナ人の行き来を制限している。日本人はOK
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