
幼なじみのはる子が好きなのにナンパを繰り返す慎之介。そんな慎之介に思いを寄せるバイセクシャルの三沢。そして慎之介の気持ちに気づいているのに知らないふりをして、居心地のいい関係に甘んじているはる子。そんな恋愛スタイルのまったく違う3人の日常を淡々とつづった『せかいのおわり』は、恋愛は大変だけど、誰かを想うことはステキなことだと教えてくれる青春映画だ。
その中で、ナンパなくせにじつは純粋な慎之介を演じたのが、渋川清彦。これまで『青い春』('02)、『ナインソウルズ』('03)などでアクの強い個性的な役柄を演じてきた彼だが、『せかいのおわり』ではひょうひょうとした人間味あふれるキャラクターを演じている。
「とくに(監督の)風間さんから言われたわけじゃないんですけど、この脚本を初めて読んだときに、自分の頭の中で、まず寅さんが思い浮かんだんですよねぇ。その頃たまたま『男はつらいよ』シリーズ('69〜'97)にはまってたというのもあるかもしれないけど、“慎之介と寅さん、なんか似てないか?”って。で、風間さんに話したら、風間さん自身もなんとなくそう思ってたみたいで、そのおかげで慎之介っていう役柄が自分の中でかなり固まりましたね。でも、実際に撮影に入ったら、いっぱいいっぱいで、そんな余裕はなかったですけど(笑)」
“渋川清彦=寅さん”というのも意外だが、本人によるとシリーズ全作のDVDをもっているほどの“寅さん”フリークなんだとか。そのうえ、寅さん好きが高じて、渥美清のお墓参りにまで行ったというから驚きだ。
「寅さんって、みんな存在は知ってるけど、意外と見てる人は少ないんですよね。だから、1作目からちゃんと見てみようと思って見たら、これがおもしろくって。KEEから渋川清彦って名前に変えたのも、寅さんっていうか、渥美清さんの影響もあるんですよ。まぁ、前から30歳になったら役者1本に絞ってやっていこうって思ってたのが一番の理由だけど、渥美清さんって、名前の中にサンズイが2つあるでしょ。俺も、“川”の字を挟んで“渋”と“清”でサンズイが2つ(笑)。あと、名前を決めるときにもう1つポイントになったのが、俺って群馬県出身なんですけど、国定忠治っているじゃないですか。あれって、国定村の忠治ってことなんですよね。だから、俺も渋川市の清彦ってことでいいんじゃないかな、と。まぁ、どれも後づけなんですけどね(笑)」
30歳になったのを機に役者に専念することに決めたという彼だが、風間志織監督と組むのは今回が2度目。というのも、『せかいのおわり』は、風間監督の前作『火星のカノン』に出てきた中村麻美演じる“聖”と渋川演じる“真鍋”のキャラを掘り下げた作品でもあるのだ。
「今回、俺と(はる子役の)中村麻美を想定して、風間さんがあて書きしてくれたんですよ。脚本をもらった時点でセリフも自分の言葉に変えちゃってるし、かなり自由にやらせてもらったんですけど、風間さんは芝居にこだわる人だから、同じシーンを10回、20回と繰り返し撮るんですよ。そうするとやってる方も混乱してくるじゃないですか。(三沢役の)長塚くんとも、撮影が終わった後に『わかんねぇ』って言って話し合いましたもん(笑)。彼は自分で演出もやってるからよけいにそうなんだろうけど、俺も10円ハゲができるぐらい悩みましたからね。俺の場合、ちゃんと演技を勉強したわけじゃないから不安になることも多いんですけど、いろんなところで遊んでるのがプラスになってると思うんですよね。だから、これからももっと遊んで、いろんなものを吸収して、それを芝居に生かしていけたらいいな、と。で、寅さんみたいな役をちゃんと演じられたらいいなって思いますね」 |
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PROFILE
渋川清彦 Kiyohiko Shibukawa

'74年群馬県生まれ。モデルを経て、'98年のTVドラマ「ケイゾク」のKEE役で注目を集める。同年の『ポルノスター』で映画デビューし、『殺し屋1』('01)『WASABI』('02)などに出演。最新作は10月上旬公開の『空中庭園』 |
『せかいのおわり』
●シネ・アミューズほか9/10(土)公開
『火星のカノン』('02)の風間志織監督の最新作。微妙な関係で結ばれた男女3人の日常を、温かなまなざしで見つめた青春ドラマ。主演は中村麻美、渋川清彦、長塚圭史。そのほか小日向文世、高木ブー、田辺誠一ら個性派キャストの好演も見もの。(ビターズ・エンド配給)
>>『せかいのおわり』公式サイト |
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