ストーリーだけ聞くと、そんな話で本当に長編劇映画が成り立つの? と思うかもしれない。なにしろ、路線バスが地下水道の陥没に巻き込まれ、縦に落ち込み、次第に水没していく…、という、奇想天外なようで単純な設定なのだ。確かに危機的な限定空間はパニック映画の定番だが、映画的なスケールは出そうもない。しかし、本作は、そんな先入観を見事に覆してくれた。
一般道路の地下で行われていた巨大トンネル工事。その工事責任者が主人公で、バスには彼の息子が乗っている、というのも定番ぽいが、携帯電話で連絡を取り親子が協力しあう展開にうまく活きている。ロングでとらえた街の風景に、突然、黒々とした大穴が出現、バスがグラリと吸い込まれていくワンショットや、救助隊が駆けつけても、周囲がちょっとの重さでも崩れるので近寄れない描写。縦になってじょじょに沈んでいくバスを内外から自在に捉えた映像など、監督の力量次第で、どんな設定でもスケールある佳作が可能なのだな、と痛感する。
知り合いの映画関係者が、同じような話を考えていて、この映画の話をしたら悔しがっていたが、それは低予算で出来る“パニックもの”という企画でしたけれどね。 |
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