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 スティーブン・キング
『ストーム・オブ・ザ・センチュリー 前・後編』

高橋 諭治
text by Yuji Takahashi
キング映画はつまらない!?これを観てから言え!
 スティーブン・キングが関わったTVムービーと聞いて、いい思い出が頭をよぎる人はほとんどないだろう。しかし過去の時間の浪費も、この『ストーム・オブ・ザ・センチュリー』を見れば報われた気になってしまう。それほどまでに幸福な恐怖体験に浸れる本作は、キングがオリジナル脚本を書き下ろし、製作総指揮を務めた入魂の大長編である。

 ハリケーン級の猛吹雪が近づくメイン州の島に、不気味な殺人鬼が出現する。すかさず若い警察署長が逮捕するが、やがてこの男が“人間ではない”ことが判明する。住民たちが抱える嘘や秘密をズバズバと言い当て、留置場からの遠隔操作で連続殺人を起こす怪人のキャラクターも凄いが、何よりこの映画の素晴らしさは、悪魔的な化け物の脅威にさらされた普通 の人々のパニック状況が、このうえなく丁寧かつ生々しく描かれていることだ。

  同時多発的な変死事件と吹雪によって、止めどもなく拡散する恐怖。4時間の長さが苦にならないどころか、それゆえに成立する濃密なサスペンスは、まさにキングの小説の醍醐味“物語に引きずり込まれる”感覚そのままだ。「求めるものを与えれば、私は出て行く」。映画の終盤、謎の怪人が繰り返す言葉の意味がわかった頃には、多くの人がこう叫ぶだろう。「これぞキング映画の最高傑作だ!」。
STORM OF THE CENTURY PART1,2
監督:クレイグ・バクスレー
出演:ティム・デイリー、
   コーム・フィオーレ、
   デボラ・ファレンティーノ
1999年 アメリカ
前編2時間6分 後編2時間16分
ワーナー・ホーム・ビデオ
¥各12,000


 

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