少女監禁に幼女誘拐、と人間性を閉ざした奴が陰惨な事件を引き起こすことが日常茶飯事になっちまった御時世。自虐的なのかポリシーがないのか、とかくマスコミは、M君以来ホラー・ビデオなんぞに責任の一端をなすりつけようとするが、やはり問題は家庭にあるんだぜ、と、この映画は語っているように思えてならない。たしかに、首切り殺人を犯してしまう主人公の少年は、マンガとテレビに逃避した。けれども、彼の心が屈折していった原因は、自堕落なトランペッターの父と、家族を軌道修正できずにノイローゼに陥った母のいる家庭にあった。まだ、心のバランスを保っていた頃に家出した少年が、母のために「幸福な家」の形をしたオルゴールを買ってきたじゃないか。
少年が「修理工場」と呼ぶ精神病院で過去を振り返る形で語られていく構成も興味深いが、なんといっても彼がキレてしまってからの描写
は凄まじい。それは陰鬱な描写ではなく、実に快活でシュール。テレビで見た水爆のキノコ雲も、SF映画のエイリアンも、ときおり平静さを取り戻させるマリア様も、少年の目の前には現実に映った。暴力でしか答えを見出せなかった少年の物語を、僕らは安穏と見てはいられない。 |
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THE BUTCHER
BOY
監督:ニール・ジョーダン
出演:イーモン・オーウェインズ、
スティーブン・レイ、
フィオナ・ショー
1998年 アメリカ=アイルランド
1時間50分
ワーナー・ホーム・ビデオ
\9,800 |
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●独白で構成されているということは、つまりこの映画の世界は、あくまでも少年の頭に映った現実というわけである。回りの人々の態度も、マリア様も……。それによって本作は一筋縄ではいかない深みをもった。(編集部)
http://www.butcherboy.com/
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