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『ザ・チャイルド』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
'67年製作の幻のホラー、その演出、カメラワークを再評価
 カルチュア・パブリッシャーズから、とんでもないDVD&ビデオが発売される。'76年製作のスペイン映画で、いちおう日本でも劇場公開されているのだが、今回が初のソフト・パッケージ化。

 バカンスを過ごすために、スペインの小さな島を訪れたイギリス人の若い夫婦。ところが島に上陸してみると、まったく大人たちの姿を見かけないことに気づく。ある日突然、凶暴化した子供たちが、大人全員を殺害してしまったのだ!

 同じような設定の映画としては『光る眼』があるが、恐怖度はこちらのほうが遙かに上。超能力を使うわけでもない子供たちに、なぜ屈強な大人たちがむざむざ殺されるのか、と疑問に思う人もいるだろう。そこがこの映画のミソ。
 
 
QUIEN PUEDE MATAR A UN NINO?
監督:ナルシソ・イパニエス・セラドール
出演:ルイス・フィアンダー/プルネラ・ランサム/アントニオ・ランソ
1976年 スペイン
1時間52分
カルチュア・パブリッシャーズ
16000円
8月17日発売

●生物学者の男とその妻がバカンスで訪れた島は子供しかいなかった。そう、彼らは大人たちを無差別に襲い、殺していたのだ! '77年の劇場公開以来、幻の傑作と言われてきたスペイン・ホラーが初のビデオ化。監督は『象牙色のアイドル』('70)のナルシソ・イバーネ・セルラドール。
本作の子供たちはとてつもなく狡猾で邪悪なうえに、大人にしてみれば相手が幼い子供では、道徳上“反撃できない”わけだ。これは不条理ホラーであると同時に、極限状況に追いつめられた主人公の葛藤をしっかり描き込んだ異常心理ドラマなのである。

 また筆者が今回24年ぶりに本作を見直してみて感心させられたのは、カメラワーク、音響といった演出面が非常にしっかりしており、決してバイオレンス・シーンそのものをウリにしていないこと。そして無数の子供が過去の戦争や飢餓などで殺されてきた歴史をモノクロ写真で示すプロローグが、少年少女の異常な行動の“理由”を想像するうえで重要な役目を果たしていることだ。とはいえ、これを観た人が最も衝撃を受けるのは、ニターッとおぞましい笑みを浮かべて拳銃を構えるあどけない男の子の姿だろうが…。


 

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