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『Fカップの憂うつ』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
人生の悩みは、バストの大きさに比例する!?
 育ち盛りの14歳の巨乳少女を主人公にした家族コメディである。確かに大きな胸だ。しかし、ビデオの一時停止機能などを駆使して何度も確かめてみたが、どうみてもFカップはオーバーではないか。せいぜいDカップがいいところだ。これだから女ってヤツは……などとブツブツ文句を言いながら見たため、この映画の面白さに気づくまで必要以上に時間がかかってしまった。ロバート・レッドフォードが製作総指揮を務めたインディペンデント映画だけに、脳天気な中にも鋭い視点がピリリとちりばめられた好編になっている。

 主人公ヴィヴィアンの一家は、かなり衝動的な性格のパパのせいで引っ越しを繰り返し、ビバリーヒルズ内を転々としている。やがて朝から豪快にステーキを食らうタフガイ・パパの意外なヒミツが明らかになり、セックスに興味津々のヴィヴィアンは“家族”の問題と向き合うはめになる。
 
 
SLUMS OF BEVERLY HILLS (劇場未公開)
監督・脚本:タマラ・ジェンキンズ
製作総指揮:ロバート・レッドフォード
出演:ナターシャ・リオン/マリサ・トメイ/アラン・アーキン
1998年 アメリカ
1時間31分
20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン
15000円
発売中

●'70年代のアメリカの中流階級の少女とおかしな家族を描くブラック・コメディ。主演は『アメリカン・パイ』などの若手人気女優ナターシャ・リオン。大ヒット・ホラーの続編『最新絶叫計画』などの公開も控えている。

 どんどん大きくなる胸にコンプレックスを抱いている彼女の悩みが、見栄っ張りな大人になんかなりたくない、という反抗心とさりげなくリンクしていく展開が面白い。その一方で、ボーイフレンドとのカーセックスであっさり処女を与えてしまう矛盾した行動。そう、大人の世界も矛盾だらけだ。つまりこの映画は、ナイーブなヒロインが“身をもって”屈折した大人への第一歩を踏み出す瞬間を切り取った、実にまっとうな青春映画といえる。

 というわけで筆者はバストに目を奪われていたウカツな自分を、大いに恥じた。しかし本作には魅惑の喜劇女優マリサ・トメイの悩殺ランジェリー&看護婦ルックが盛り込まれていることも、スロウトレイン読者への貴重な情報としてここに記しておきたい。


 

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