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『ディープ・ジョパディー』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
こんなフロリダ、見たことない!
 『ダブル・ジョパディー』のアシュレイ・ジャッドが、無名時代に男運の悪いヒロインを演じた人間ドラマ。いささか失笑を誘う邦題がついているが、中身のほうは実に見応えのあるリアリスティックな女性映画になっている。

 まるで希望のないテネシーを飛び出し、さまよえる主人公ルビーが流れ着いたのは、幼い頃に訪れた記憶がある西フロリダのパナマシティ。フロリダといえば誰もが温暖なリゾート地のイメージを抱いてしまうが、ここで描かれるのは真冬のそれ。オフシーズンゆえにゴーストタウンのように沈みきった町で、ヒロインに幸福探しをさせるというシチュエーションに、作り手の底意地の悪さ、いや、鋭い視点が感じられる。

 監督&脚本のビクター・ヌネは、ピーター・フォンダ主演の『木漏れ日の中で』でもフロリダの沼沢地を切り取っていた寡作のインディペンデント作家で、よほどこの出身地に愛着があるようだ。

RUBY IN PARADISE (劇場未公開)
監督・脚本:ビクター・ヌネ
出演:アシュレイ・ジャッド/ドット・フィールド/ベントレー・ミッチャム
1993年 アメリカ
1時間55分
アートポート
16000円
4月6日発売



http://www.artport.co.jp/
 ようやく見つけた新しい職場、新しい恋人にことごとく失望させられても、ルビーというきらびやかな名前を持つヒロインは、最後の輝きだけは失わない。フロリダは夢に思い描いた楽園にはほど遠かったが、ここで彼女は生きる実感を肌で感じ取っていく。ちなみに、理想と現実の狭間を揺らめく人間を愛おしくつづった本作の原題は『ルビー・イン・パラダイス』という。やっぱり、このほうがしっくりきますな。


 

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