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『ラビナス』

大森さわこ
text by Sawako Omori
カニバリズム&同性愛の“マトモな”珍作
 これはホントに”拾い物”。公開時はまるで話題にならなかったが、奇妙なブラック・コメディが好きな人にはお薦め。一流のキャストとスタッフ(マイケル・ナイマンとデイモン・アルバーンの音楽、最高!)によるマトモな珍作。

 女流監督は女性の自立や恋愛にこだわる人が多いが、男たちの葛藤や同性愛に共感するのが、英国のオバサン監督アントニア・バード。『司祭』や『フェイス』がそうだったように、男の繊細な感情をすくいとろうとする。

 ロバ−ト・カ−ライルとの名コンビで知られるが、この新作も彼が主演。今回はカニバリズムと同性愛のテーマをミックスし、ドラキュラ伝説をも思わせるフシギーな世界を作り上げる。『ハンニバル』同様、ハリウッドのタブー=カニバリズムに挑戦してみせた勇気ある作品。

 舞台はフロンティア時代のアメリカ。カーライル演じるミステリアスな軍人が雪山で救出され、隊長(『L.A.コンフィデンシャル』のガイ・ピアース)は、彼に人肉食いで生きのびた話を聞く。いつもはひ弱なカーライルが妙にセクシーで男っぽくて、これは彼の最近のベスト演技。「食え、食え」と意中の男(?)に迫るラストシーンのインビな危なさに、大笑いしつつ、ゾクゾクでした。
RAVENOUS
監督:アントニア・バード
出演:ガイ・ピアース
   ロバート・カーライル
   デイビッド・アークエット
1998年 アメリカ
1時間41分
フォックスホームエンターテイメント 
17000円
3月2日発売


 

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