まだテレビが日本になかった50年前。NHKの連続ラジオ放送で、毎日『君の名は』が放送される時間になると、町のお風呂屋さんの女風呂がガラ空きになったという伝説を残した放送劇の映画化で、3部作合わせて3千万人もの観客が劇場に押し寄せた大ヒット作だ。おかげで戦前からの老舗でもある映画会社・松竹は、東京・築地に別
名“君の名は”ビルと呼ばれた新社屋までブッ建てた(昨年、老朽化のためブッ壊された)。
終戦直前、東京大空襲の夜に数寄屋橋の上で偶然に出会った男女が恋に落ち、生きていたら半年後に数寄屋橋の同じ場所で夜8時に逢おうと約束したことで展開する“大メロドラマ”。最初の別れのときに男が聞く「君の名は?」がタイトルの由来で、2人の報われぬ恋をめぐって、様々な人々が糸を紡ぐように登場し、様々な事件がドラマチックに巻き起こる。まだ本当に風光明媚だった日本中の観光地を股にかけ、絶世の美男美女である佐田啓二と岸恵子の2人が、いつ終わるのかわからない出会いと別れとスレ違いを延々と繰り返していく。
今の目で見れば“観光ロードムービー”である。当時は普通だった“嫁いびり”という名の虐待や、今こそいてほしい美しい心を持った善良な人々…。今時の映画やテレビでは気恥ずかしくてまともに作れないほど美しい“正調メロドラマ”は、宇宙旅行間近に迫った21世紀の今だからこそ、見るに相応しい。この映画には、今の日本人が無くしてしまった素晴らしいものが沢山出てくるからだ。長いからと言って早送りで見てはいけない! 必ず糧になる何かがあるはずだ。 |
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監督:大庭秀雄
出演:佐田啓二
岸恵子
淡島千景
1953〜54年 日本
各2時間1分〜2時間8分
SHV松竹ホームビデオ
各3800円(セルオンリー)
発売中 |
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