間違いなければ、主演作は異常殺人犯を演じた『ヘンリー』('86)1本だけというマイケル・ルーカー。不敵な面魂を持ち、それなりの演技力と存在感を備えている彼は、大作、小品にかかわらず、話題になる映画のオファーが多く、俳優のキャリアとしてはいい仕事をしている。しかし、不敵すぎる面魂が彼を脇役に押さえつけてしまっているのも事実だ。
ジェイムズ・エルロイの処女小説の映画化『ブラウンズ・レクイエム』の彼は、主人公を演じてクレジットのトップを張っている。原作がエルロイだから主人公はヒーローではない。上司の策謀で警官を退職させられ、しがない私立探偵を細々とやっている酔いどれのダメ男が彼の役柄で、うだつのあがらない人生を送りながらも、まだ体のどこかに生きる意欲と精力が残っている男の、悪あがきにも似た心境を吐露する映画だ。
良く言えば男の意地を見せるものであり、実力がありながら万年脇役を務めて映画界を生きているルーカーが演じるのは正解で、非常な説得力とリアリティがある。現時点での彼の最高演技だと思う。彼の事ばかりを書いてしまったが、演出、脚色、他の演技陣も皆いい。特に抜群なのは雰囲気描写
で、ルーカーがバーのカウンターで苦い酒を飲む風情たっぷりの出だしからして出色の出来だ。人生を懸命に生きてきた大人が見れば、このシーンだけでもコロッといかれるのではないか? |
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BROWN'S REQUIEM
監督・脚本:ジェーソン・フリーランド
出演:マイケル・ルーカー
セルマ・ブレア
ハロルド・グールド
1998年 アメリカ
1時間45分
日本ヘラルド映画
16000円
発売中 |
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