「迷子になったワンちゃんをいっしょに探そうよ……」などと囁きかけ、巧みに少女たちをさらっては惨殺していく変質者。本作はそうした連続殺人鬼の異常性をことさら強調せず、デニス・ホッパー扮する老刑事の苦闘を軸とする静かなサスペンスで観せていく。女市長と癒着したマフィアまでが事件を解決するために精鋭部隊を結成し、主人公の捜査を出し抜いていく設定もひねりが利いている。
それ以上に本作の重要なポイントは、地方の新興都市を舞台にしているところだ。母子が戯れる公園などに現れ、白昼堂々と誘拐を重ねていく犯人。目撃者には事欠かないはずのにぎやかなコミュニティから子供が消失する様には、妙なリアリティがこもっている。
これが監督デビュー作となったデレク・ヴァンリントは、あの『エイリアン』のカメラマンを務めた人。少女連続殺人事件の犯人探しをめぐるストーリーは、巨匠フリッツ・ラングの社会派スリラーの名作『M』にオマージュを捧げたものだ。もちろんラングの鬼気迫る筆致には到底及ばないものの、一見美しい地域社会に潜む暗闇をさりげなく浮き彫りにした意欲作といえる。そう考えると、排水路にゆらめく少女たちの溺死体が近代都市の排泄物のようにも思え、何だか物悲しくなってきた。 |
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THE SPREADING GROUND
監督:デレク・ヴァンリント
出演:デニス・ホッパー
レスリー・ホープ
フレデリック・フォレスト
2000年 アメリカ
1時間39分
エムスリイエンタテインメント
16000円
発売中 |
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