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『FAIL SAFE/未知への飛行』

高橋 諭治
text by Yuji Takahashi
“核の恐怖”を生放送!
 あのキューブリックの『博士の異常な愛情〜』と同年の64年に製作され、勝るとも劣らぬ衝撃度で冷戦時代の“核の恐怖”を描き上げた御大シドニー・ルメットの傑作をリメイク。といっても再映画化ではなく、アメリカのCBSネットワークのTVドラマで、『ER/緊急救命室』でも実施されたライヴ方式(生放送)によるものだ。

 メカの誤作動でモスクワ爆撃指令を受けたアメリカ空軍の一編隊が、“フェイル・セイフ”の空域を突破。このラインを超えると大統領の肉声をもってしても作戦中断が不可能になることから、米ソ両首脳はホットラインを通じてギリギリの交渉を繰り広げる。

 任務遂行に燃えるグレイディ大佐にジョージ・クルーニー、大統領にリチャード・ドレイファス、穏健派のブラック将軍にハーヴェイ・カイテルという豪華なキャスティング。なかでもドレイファスとノア・ワイリー扮するロシア語通訳のパートの緊迫感はかなりのものだ。

 ストーリー的にはルメット版とほぼ同じだし(映像までモノクロ)、スティーブン・フリアーズの演出も生放送という絶対的な制約ゆえに極めてオーソドックス。しかし、とんでもない異常事態がリアルタイム感覚で進行していく濃密なスリルは十分伝わってくる。戦慄のラストを見届けた後、「ハイテク時代の今はこんなミスは起こらないさ」なんて何の保証もない過信を抱かぬように。お気楽な私は、それを打ち消しながらゾッとしました。
FAIL SAFE
監督:スティーブン・フリアーズ
出演:ジョージ・クルーニー 
   リチャード・ドレイファス
   ノア・ワイリー
   ジェームズ・クロムウェル
2000年 アメリカ
1時間24分
ワーナー・ホーム・ビデオ
レンタルのみ


 

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