女性ばかりを次々と惨殺し、なぜか髪をハサミで切り落とすという髪フェチなシリアルキラーがドイツに出没。これを追う捜査陣の苦闘を描く…という毎度おなじみのサイコ・サスペンスもの。
こういうタイプの映画は2、3本続けて見ると区別がつかなくなるものだが、本作はズバリ女刑事を主役に据えることで鮮烈な独自性を打ち出している。主人公のヴァレリーは正義漢が強く、とことんタフな女性。が、そう見えるのは彼女が虚勢を張っているだけであって、実は激務と孤独で疲れ果てている。そんなヴァレリーの弱みにつけ込む真犯人の正体とは……?
ヒロインが犯人逮捕に執念を燃やせば燃やすほど、気丈に振る舞えば振る舞うほど状況が悪化してしまう展開は、サディスティックなまでに容赦がない。主演のヤスミン・タバタバイは『バンディッツ』でワイルドな女囚ロッカーを演じていたパワフル女優だが、今回は意外な“もろさ”を醸し出して新境地を披露。
ひと昔前のホラー映画では、いかにもカヨワイ美少女が殺人鬼や怪物におののくというシチュエーションが定番だったが、今や本作のように現実社会の“強い女性”が恐怖にさらされる姿のほうがグッとリアルだったりする。強さゆえに恐怖に立ち向かい、ドロドロの袋小路にはまってしまう矛盾。前者のお約束的な健全さに比べ、何と後者の屈折していることか! |
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