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『4th(フォース)フロアー』

清水 節
text by Takashi Shimizu
異色キャストで描く“ご近所の恐怖”
 これは、キャスティングで楽しめる“ご近所の恐怖”ものビデオストレート。主演は、ヤク漬けから更生した後、キレる女優の代名詞を返上して演技派を志向しはじめたらしい、ジュリエット・ルイス。その実らぬ 恋のお相手に、まるで森本レオ的浮遊感で現れる朝のTVのお天気レポーター、ウィリアム・ハート。彼女は言い寄る彼を振り切って一人暮らしをはじめるのだが、そのアパートが恐怖のはじまり。といっても心霊現象ではない。怖いのは、偏執的なご近所のいやがらせなのだ。

 集合住宅に住んだことのあるものならわかる日常の恐怖。彼女は階下のいやがらせに、スピーカーを床に向けて大音量で鳴らし、おまけに縄跳びしちゃう「眼には眼を」作戦!というか、『時計じかけのオレンジ』で妻に乱暴を加えられた作家が、アレックスに復讐するときに第九を2階へ向けて鳴らすパロディか。

 ジュリエットにかつての狂気はないが、そのヌルさは過去の自分をパロってるようにも見えてくる。キャスティングの極め付けは、『三人の女』『シャイニング』でアルトマン、キューブリックを通過した神経症的女優シェリー・デュバル。丸みを帯びて老けた彼女が、アパートの怪しげな管理人として重鎮ぶりを発揮している。

 結末はありきたりだし、サスペンス度はそこそこなのだが、妙なコミカルさと毒を散りばめたタッチがあり、監督を確認したところ、なんと『メリーに首ったけ』をはじめきわどいネタで笑わせるファレリー兄弟組の助監督を務め上げてきたジョシュ・クラウスナー。ポランスキーの『テナント 恐怖を借りた男』あたりにオマージュを捧げ、そつなく監督デビューを飾ったようだ。
THE 4TH FLOOR
監督・脚本:ジョシュ・クラウスナー 
出演:ジュリエット・ルイス 
   ウィリアム・ハート
   シェリー・デュバル
1999年 アメリカ
1時間31分
にっかつ
16000円
11月22日発売


 

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