映画史に残るアニメの傑作『やぶにらみの暴君』('52)の作者ポール・グリモーの79年度の作品。といっても、『やぶにらみ〜』を、絵はそのままに(セルは描き替えて)リメイクしたものだ。
52年度作品は、全世界で絶賛され、日本でも、若き宮崎駿や高畑勲をアニメの世界に引き込み(『ルパン三世/カリオストロの城』はあきらかにオマージュ)、東映アニメでも『ガリバーの宇宙旅行』('65)などに、明らかに直接的な影響を与えた。しかし、グリモー本人は、予算不足でラストが意に沿わない内容になったことが不満で、20年以上も執念を燃やし、本作に結実したのだという。ディープなアニメ・ファンは“52年作に比べて線に力がない”などと言うが、それを差し引いても、アニメの枠を超えて、誰の心にも残る第一級の名作だろう。
脚本のジャック・プレヴェールが作詞、ジョゼフ・コスマ作曲(『枯葉』のコンビですな)で、本作で唄われる「ロバと王と私はあす死ぬ
だろう/ロバは飢えに 王は退屈に 私は愛に…」と続くシャンソンが耳に残る。『やぶにらみ〜』では実現できなかったラストでは、暴君の王国が崩壊したあと、巨大ロボットの手が、鳥籠から小鳥を放ち、最後に残った“牢獄”である鳥籠を叩きつぶす場面
で終わる。
同時発売の『ポール・グリモー短編傑作集』は、グリモー自身が登場して自作を語る構成そのものが一編の見事なファンタジーとなっている必見作。アニメの絵に溶け込んでアトリエを立ち去るグリモーの後ろ姿が哀しくも美しい。ジャック・ドゥミ共同監督作品だ。 |
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LE ROI ET
LOISEAU
監督・脚本:ポール・グリモー
1979年 フランス
1時間25分
アイ・ヴィー・シー
3800円
9月25日発売 |
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