「FILM」
「DVD」
「VIDEO」
「SOUND TRACK」
「BOOK」


 
『そして、友だち 完全版』

宇都宮秀幸(編集部)
text by Hideyuki Utsunomiya
ささやかな日常ドラマに見る山田太一の“言葉”と“技術”
 近年の単発ドラマでは、中高年のリストラとそこから浮かび上がる現代日本の息苦しさを繰り返し扱ってきた山田太一。本作ではそうした社会的なテーマからやや離れ、平凡な女子高生の日常に起こった小さな事件を軽やかに描いて見せる。

 主人公は父を亡くし母とふたり暮らしの高校生・優。彼女と、同級生で家出中の少女・佳矢との関係が、表面 的なものから深いつながりへと変化していく過程がストーリーの中心となる。物語がオーソドックスな分、随所に登場する太一ドラマの技術的なエッセンスが際立つ。優が佳矢へ接近する本当の目的というミステリーが物語全体の牽引力となる仕掛けや、優の父親の幽霊を登場させることで彼女の心の内側を自然に語らせる手法などは、今更ながらうまい。

 もちろん、そのテクニックが最も発揮されるのは山田太一の代名詞である“会話”の面 白さ。暗闇で半ば強制的に見せられる映画と違い、視聴者が集中しづらいTVドラマで最大の武器となるのは映像ではなく言葉であることを、山田はその作品を通 して主張し続けている。優と母親が互いの胸の内をぶつけ合うクライマックスでの言葉の応酬には、太一ドラマにしかない迫力と感動がある。
そして、友だち 完全版
監督:星田良子
脚本:山田太一
出演:深田恭子、
   野波麻帆、
   仁科亜希子
2000年 日本(TV)    
1時間35分
¥12000
ポニーキャニオン
発売中

●お世辞にも演技力があるとはいえない深田恭子だが、ボーッとしているようで実はしたたかというキャラクターがこの役とうまく結びついた。案外、山田は彼女の個性からこの話を逆算したのかも!?(編集部)


http://www.ponycanyon.co.jp/


 

「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.