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『天才マックスの世界』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
笑うか、泣くか!? 哀愁の“切なバカ”の恋
 天才とバカは紙一重、とはよく言ったもの。名門ラシュモア校に通 う本作の主人公マックスを見ていると、つくづくそう思う。べっこう眼鏡にビシッと七三にキメた髪。見かけはいかにもガリ勉野郎だが、その実態は落第点を獲得するスペシャリスト。ありあまるエネルギーを数十ものクラブ活動の掛け持ちに費やす怪物的な異端児、それがマックスだ。

 タリア・シャイアを母親に持つコッポラ一族の隠しダマ、新人ジェイソン・シュワルツマンがこれを演じている。バカといってもオースティン・パワーズ風の快楽探求バカではない。勉強以外のあらゆることに必死に挑戦しては、見事なまでに空回りして砕け散る真面 目バカ。『シックス・センス』のオリビア・ウィリアムズ扮するラテン語の超美人教師にホレて熱烈アタックをかけるに至っては、寂寥感すら滲む“切なバカ”になってしまう。

 そう、この映画の凄いところは、気恥ずかしさを伴う少年のナンセンスな奇行が、ついにはあらゆる青春映画も顔負けの切ない感動の域に達してしまうことだ。ベタなギャグ演出に走らず、ストーンズ、キンクスといったメロウなロックンロールが見る者を不思議と胸キュンさせる傑作。この一見、空虚なズッコケ・ムービーで感動してしまう人はバカかもしれないが、ひょっとすると天才なのかもしれない。すでに3回見た大バカの私が言うのだから間違いない。

(C) Touchstone Pictures MM
RUSHMORE
監督:ウェス・アンダーソン
出演:ジェイソン・シュワルツマン、
   ビル・マーレイ、
   オリビア・ウィリアムズ
1998年 アメリカ
1時間36分
\16000
ポニーキャニオン
4月19日発売

●やさぐれた中年男を気だるく演じるビル・マーレイがいい。かつてのヒステリックな雰囲気はハナについたが、枯れてこそ味の出る俳優というのはやはりいる。シュワルツマンとの復讐合戦はおかしい!(編集部)


 

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