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『π』

清水 節
text by Takashi Simizu
心と体こそ不変の真理 デジタルに描くアナログ讃歌
 エッジの効いた映像。デジタル世代のバイブルのように喧伝されはしたが、これはアナログ讃歌に他ならない。『マトリックス』のネオもそうだったが、発光するモニターの前で睡眠不足や偏頭痛に悩まされる連中の増殖が著しいようだ。大方のサイトがそうであるようにネット空間はひたすら偏執的。いわばデジタルな憂鬱ってとこか。

 この映画の主人公マックスの格闘相手は「数字」だった。自然現象も株式市場も法則化できるなんて、志は高いがムチャな仮説を立てやがる。冒頭から「東洋」というイコンが散りばめられているのは何故か? チャイナタウン、中国系少女、インド娘、そして碁盤。ヨーダのような元数学者のじいさんは、「考えるな、感じるんだ」なんて殺し文句でマックスを叱咤する。結局、マックスはコメカミにドリルを当てるまで真理に気づくことができなかった。彼は「頭」を粉砕して初めて、穏やかな笑顔にたどりついた。デジタイズできない「心と身体」こそがこの世の不変の真理を感じ取ったのだ。

 なあ、マックス、πが象徴するように世の中は割り切れんもんなんだよ。なのに義務教育は、再来年からπを割り切れる3にしちまおうってんだから、ったく、未来はヤバイぜ。
π
監督:ダーレン・アロノフスキー
出演:ショーン・ガレット、
   マーク・マーゴリス、
   スティーブン・パールマン 
1997年 アメリカ
1時間25分
¥15800
クロックワークス
発売中


 

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