かつて『彼女が水着にきがえたら』の撮影中にお会いした馬場監督に「どんな映画が好きですか?」と尋ねると、若大将や007シリーズとともに『リオの男』や『電撃フリント』などの作品を挙げ、いずれアクション・コメディを撮りたいなあ、とニコニコしながら語ってくれたことがある。けれども、『私をスキーに連れてって』から『波の数だけ抱きしめて』に至るいわゆるホイチョイ三部作では、何よりもまず恋愛劇として完結していることが映画会社の要請。馬場監督ならではのアクション映画を見たい、というボクの思いは果たされずにいた。
そんな思いを一気に払拭してくれた今回の『メッセンジャー』。ホイチョイ映画お得意の恋愛劇やトレンディな要素を身にまといながらも、自転車を漕ぐという単純なアクションが映画全体の芯にしっかりと据えられていて気持ちがいい。映画は冒頭から、自転車便とバイク便の走りを併走するアングルで捉え、回転する車輪とその脚まわりを対比してみせて物語の骨格を暗示する。これから繰り広げられるのは、シャンパンとビール、色白と色黒、お喋りと寡黙、ジャケットとタンクトップ、はたまたバイクと自転車という対比の物語なのだと。
そしてその両極をドタバタと行き来し、二つの世界をかいま見ながら成長するコメディエンヌ、飯島直子が驚くほどイイ。ヘップバーンほどの上品さはないが、彼女がジャケットを脱ぎ捨てる、スカートを引き破る、その颯爽とした姿を馬場監督は十分計算ずくで起用したのだろう。念願が結実して単なるトレンディ映画を超えた、これは馬場テイストのアクション・コメディの快作だ! |
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メッセンジャー
監督:馬場康夫
出演:飯島直子
1999年 日本
1時間58分
\16000
ポニーキャニオン
発売中 |
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●『スキー』から実に12年。“楽しく遊ぼう”から“楽しく働こう”に変わったホイチョイ映画だが、ポリシーである“軽さ”を貫く姿勢は立派。人物が不必要に己の過去を語ったりしないのが気持ちいい。“浅い”のではなく“潔い”のだ。(編集部)
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