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『極悪人』

高橋諭治
text by Yuji Takahashi
ウィンターボトム組が仕掛ける、一筋縄ではいかないバイオレンス
 北アイルランド紛争の中心地というべきベルファストを舞台にしたバイオレンス・ドラマ。ギャングの若手リーダー、ビクターは、夜な夜な仲間を率いてカソリック系の一般住民に制裁を加えている。やがて落ちぶれた新聞記者ライアンが取材を開始するが、ビクターの“人間狩り”はエスカレートする一方で、ギャングの幹部も彼の存在を疎ましく感じるようになる。

 
 
RESURRECTION MAN
監督:マーク・エヴァンズ
製作総指揮:マイケル・ウィンターボトム/スチュワート・ティル
出演:スチュアート・タウンゼンド/ジェイムス・ネズビット/ブレンダ・フリ
ッカー/ジョン・ハナ/ジェラルド・オロウ
2000年 イギリス
1時間42分
ANEC
16000円
発売中

●『アイウォントユー』の脚本家ユアン・マクナミーが'93年に刊行した処女小説を映画化。'70年代のアイルランドのベルファストで実際に起きた事件を基にしたバイオレンス・ドラマ。
 製作会社はマイケル・ウィンターボトム、アンドリュー・イートンが設立したレボリューション・フィルムズ。『アイウォントユー』の脚本家ユアン・マクナミーが、自らの長編小説を脚色した作品だ。 スチュアート・タウンゼンド(『シューティング・フィッシュ』)が演じる狂気の主人公ビクターは、その陰りのあるクールな風貌といい、『処刑人』のノーマン・リーダスを彷彿とさせるが、題材が題材だけにこちらはユーモアが控えめになっている。

 たいがいのギャング映画ではいくら主人公が荒っぽく拳銃を振り回しても、“この場面ではこうするだろう”といった感じで、ある程度行動が予想できるものだが、本作においては極めて難しい。突然見せしめのために仲間に銃口を向けたり、カミソリを手にして脳卒中で動けない父親のヒゲを剃るシーンなど、主人公が次に何をしでかすのかわからず、観ているこちらは安穏としていられない。踏みとどまるべき生と死の境界線が、じわじわと曖昧に溶けていく恐怖というべきか。さりげなくフィルムノワール的な妖しい色調の照明と相まって、何とも“嫌な”緊張を強いられる1本であった。


 

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