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『眺めのいい部屋』

森 世一
text by Seiichi Mori
情景音楽の極み。映画より映画的なメロディ
 リチャード・ロビンズの音楽をもう一度きちっと聴きたかった。やはりすごくて、唸ってしまった。まさしく映画より映画的である。

 ビバルディの“四季”を思わせる情景音楽となっている。例えばヘレナ・ボナム=カーターが森の中へ左足から入ったのか右足から踏み出したのか、まるで目の前にいるように見えてくるかのようだ。映画の空気が伝わってくるのだ。
 
 
『眺めのいい部屋』
A ROOM WITH A VIEW

RBCE-1014
2400円(税別)
音楽:リチード・ロビンズ
マサチューセッツ州生まれ。NYに移り、マニス音楽小学校の校長に就任。1979年『ヨーロピアンズ』という作品で音楽監督として招かれ、以後数多くの作品を手がける。『眺めのいい部屋』('86)で英国アカデミー音楽賞の候補に、『モーリス』('87)ではヴェネチア国際映画祭オゼッラ賞の音楽賞を受賞。代表作に『ハワーズ・エンド』('92)『日の名残り』('93)などがある。
サウンドによって生み出される情景。タイトルキャプションのデコレーションされた文字までが目に飛び込んできそうな1曲目のオペラ、そして石畳の街並み、麦畑の丘、ジュリアン・サンズとのキス・シーン…、見事なまでに映画の空気(音楽)なってふりそそいでくる。

 どれもメロディ・ラインはしっかりして、テンポはゆったりと川のせせらぎのように格調高い。この音が、うっかりすると全編に流れているかの印象を受けるが、決してそうではなく、この映画は会話シーンも多く、そこでは流れていない。しかし、音楽が流れていない場面でも耳にはメロディが聞こえているかのように思える。なんとも心地良い音に、この映画を想う。


 

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