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『ショコラ』

森 世一
text by Seiichi Mori
官能的で甘いメロディに感嘆!
 ジュリエット・ビノシュ親子が街にやって来て新しい波を起こし、それまでの保守的で厳格だった人々を開放するという寓話である。この街をおおうある種の暗さは、同時に映画全体にもかなり暗いイメージを落とすことになるのだが、なんとか希望とつつましい明るさを与えてくれるのが音楽である。物語の中で登場するチョコレートの人々に与える役割も大きいが、音楽もまた映画にとって同じように大きな役割を持つ。

 良く言えばこの街の人間はつつましいということになるのだろうがそれが脅迫的で、あと一歩間違えれば悲劇になる。その“悲劇”を救い出すのが音楽である。どことなく民俗っぽい香りがして、それが観るものをなごませる。
 
 
『ショコラ』
CHOCOLAT

発売:ソニー・レコード
SRCS-2427
2400円(税抜き)
音楽:レイチェル・ポートマン
1960年イギリス、ヘイゼルメア生まれ。大学在籍時、舞台演劇の音楽を作曲したことがきっかけで、現在の道を選ぶ。テレビ番組を経て、90年代に入ってからは映画音楽を数多く手がけることに。代表作はアカデミー作曲賞に輝いた「エマ」('96)のほかに、「スモーク」('95)、「サイダー・ハウス・ルール」('99)などがある
フォークソングっぽいなどというと古びた感じだが、リズミカルなうえに口ずさみやすい。 単純に言ってしまえば、描かれる風景は冬なのに、ここに流れる音楽は春のいぶきなのだ。

 このビバルディの『四季』を思わせる情景音楽をいつまでも、何度でも聴いていたいと思う。物語に登場したチョコレートのごとく、官能的で甘いメロディだ。まるで羽毛ふとんに包まれた感じで、メロディの肌ざわりが気持ち良い。まったく音楽とはすごいものだ。あまりに心地良い音楽で忘れてしまいがちだが、映像と音楽の関係のお手本みたいな作品。絶賛である。


 

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