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『楽園をください』

森 世一
text by Seiichi Mori
バンジョーひとつが時代を表現
 『バトル・ロワイアル』が戦争映画だとしたら、こちらも南北戦争という名の戦いを描く一種の戦争映画だ。どちらも若者が“どう生きたか”をテーマにしている点が共通している。

 音楽は歴史的に時代を合わせたのだろう、フィドルやバンジョーをフィーチャーして1861年の雰囲気を呼びさます。南部独特の牧歌的なフォーク調で統一感を出し、それにかぶさるようにオーケストラが加わり、雄大な自然の光景をも表現して実に耳に心地いい。そこからは、悠久の時間の流れと人間のかぼそさも感じられる。

 戦いを描く映画なので、どうしても行進曲風の勇ましい音楽が多くなる。弦楽器や太鼓が何度も登場しシーンを盛り上げる役目を果たすわけだが、時おり弦楽器のみで曲調がパワーアップする所など
 
 
『楽園をください』
RIDE WITH THE DEVIL

(輸入版)
音楽:マイケル・ダナ
代表作『スウィート・ヒア・アフター』('97)『アイス・ストーム』('97)
なかなか面白い。それに増して南部フォーク調のリズムが加わることで奇妙な効果が生み落とされる。たとえば戦闘シーンにもかかわらずバンジョーの音が鳴りだしたとたん、なにやらコミカルな味付けがかもし出されるという不思議な効果が現れるのだ。

 バンジョーひとつの音で、ひとつの時代の雰囲気とコミカルな味つけ、さらにどろくさい人間の感情までも表現できる。これは音楽の勝利といっていいだろう。


 

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