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『クリムゾン・リバー』

森 世一
text by Seiichi Mori
音のつぶが映像をおおう
 この映画はまずアルプス山脈の空撮が目に飛び込んでくる。閉ざされた街、山、河、氷雪とつづく。何かが巧妙に仕組まれている雰囲気が実にいい。音楽もまた巧妙に作られていた。この風景の厚みが映画の要となっていて音楽も単純に恐怖をあおりたてるように作ってはいないのだ。山の空撮が飛び込んで来るのと同時に、音のつぶが飛び込んで来るというイメージである。

 雨の様に音のつぶが耳に入って来て、映像全体をおおっていく。音がシトシトと降り注ぐような不思議な感覚なのだ。1つのメロディーが現れては消えていき、その消える音の少し手前でまたメロディーが始まる。それが何重にも重なっていき、1つの曲を形成するというわけだ。

 音楽が雨をイメージさせることと、主演のジャン・レノが雨をかき分け犯人へ近づいていくという
 
 
LES RIVERS POURPRES
(輸入盤)

音楽:ブルーノ・クレ
構造が重なってゆく。面白いことにこの映画では、レノが学校や図書館をただ歩くというシーンです ら何ともサスペンスフルに感じられる。これは巧妙に仕組まれた、弦楽器を主体とした音楽の効果が大きいだろう。

 たまらなく映像(特に移動撮影)と音楽の快感に酔ったのだ。『キャラバン』につづく傑作。


 

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