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『グリーン・デスティニー』

森 世一
text by Seiichi Mori
ヨーヨー・マのチェロ、その幽玄的世界
 全篇ヨーヨー・マをフィーチャーした幽玄的世界を具現したすばらしいアルバムである。チェロの音とはこうまで幽玄的にせまってくるものなのかとため息が出てしまう。

 この映画は日本で言えば忍者もので、ピョンピョンと屋根づたいに死闘をくりひろげるチャンバラを思い出してしまってキワモノっぽい印象を受けそうだが、写し出される風景の奥行きの見事さ、死闘のあまりの美しさにドギモを抜かれる。そしてそのスピードをフォローするのに選択されたのはヨーヨー・マのチェロである。

 まず打楽器が確かにスピードそのものをフォローしているのだが、ヨーヨー・マがいったんチェロをかなでるとその殺陣そのものの情感までもつむぎ出してしまう。

 この映画の物語の中にある、なぜ戦わなくてはならないかという葛藤までもが音そのものの中に秘められているように思える。
 
 
タン・ドゥン
ソニー・クラシカル
2400円(税別)
楽器編成そのものも素晴らしく、笛や打楽器の音色が妙に西洋の弦楽器となじんでいるのだ。特にチェロとパーカッションだけでジャズっていく10曲目の「デザート・カプリッチョ」などは、おかしさ、面白さもそなえながらその幽玄性をたもっている。こんな音の発想は映画音楽にしかないだろう。じっくりとクラシックを聞くように体感して欲しい。


 

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