「FILM」
「DVD」
「VIDEO」
「SOUND TRACK」
「BOOK」


 
『MONDAY』

森 世一
text by Seiichi Mori
天気予報が、非日常の音楽になる快感
 いわずと知れたSABU監督による作品。『バウンド』も珍品なら、これもまさしく珍品。堤真一のセリフが何回か音楽として登場し、天気予報そのものが音楽として登場する。いやそれらが音楽であるはずがない。ミュージック・コンクレート(楽器以外の自然音や騒音などを取り入れた音楽形式)として登場するのだ。いわば映画をそのまま伝える、本当の意味でのサウンドトラック。まったくおどろきの一枚。

 大島渚の『東京争戦後秘話』のように、日常の風景がフィルムを通してみると、がらりと変わって見える。そういう物語性のスゴみのような効果が、たとえばCDを通して聞く天気予報にはある。あるリアルな音の風景としてだけでなく、同時に非日常の音楽として聴こえてくるのである。

 勿論、劇中音楽として流れるダンスミュージックなども小気味良いほどにバランス良く入れられている。CDの全体を通して何度も登場する堤真一のセリフと、音楽とのバランスが絶妙なのだ。

 
 
メディアファクトリー
2,400円(税別)
 ラストに及んでは堤真一の死を覚悟した遺言のセリフと、ギターのフォークソング調の音楽がオーバーラップしていく。これがまさしくSABU監督のユーモアなのだ。彼の映画ではユーモアをねらうための仕掛けとして、あるまじめなリアルさが奇妙なまでに何度も登場する。たとえばこの遺言のセリフのように、その時代がかったフォーク調とキマジメなセリフにブッ飛んでしまうのだ。映画のすべてを語ってしまう、超過激なCDと言っておこう。


 

「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.