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『バウンド』

森 世一
text by Seiichi Mori
変化する音楽が、物語を語る
 '97年公開のウォシャウスキー兄弟デビュー作。そのスタイリッシュな映像に息をのむ。このCD、実は輸入盤がなく、日本盤でしかまだ存在しない。その日本盤も、公開されてから随分たって出た珍しい一枚だ。

 サスペンスフルで、ジャジーで、メロディラインもしっかりしていて、まことに耳になじむ。ジャズはダメだという人も、ミステリアスに始まる弦楽器の音から、軽快なジャズの音になっていく出だしの妙味を味わえば、スバらしいと思えるはずだ。

 ジャズからクラシカルな音楽へ、クラシカルな音楽からドラムやベース、ピアノが主体のユニットジャズへと次々に変化していく。それからベートーベンの「運命」のような大きなテーマソングへと変質し、さらにうねりとなって静寂から動的になり、物語のカタルシスへと向かうなかで静に戻っていく。その音楽の持つ物語性におどろかされるのだ。
 
 
ドン・デイヴィス
ワーナーミュージックジャパン

2400円(税別)

 特にタイトル曲の、 「いったい何がおこっているのか」という雰囲気を、音楽そのもののスタイルの変化で表しているあたりが実にスバらしい。全体的には「運命」のようなテーマが打楽器をともなったオーケストレーションで何度も登場する構造である。そのカタルシスへと向かう音楽の物語に耳を傾けたい。


 

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