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『ロルカ、暗殺の丘』

森 世一
text by Seiichi Mori
この快感は蜜の味わいである
 スペインとアメリカ合作。天才詩人と謳われたロルカ暗殺の真相をめぐるドラマ。アンディ・ガルシア主演。

 すこぶる緊張感のある音楽、悲しいメロディー、それにも増してスリリングである。映像そのものはくすんでいて暗いのだが、このフルオーケストラの音を、フルボリュームのデジタル音響できけば、スピード感といい、ヘタなアクション映画より、よほどスペクタクルを味わえる音づくりになっている。特にラスト10分以上に及ぶ組曲にはおどろかされるだろう。暗い映像を吹きとばしてくれること間違いない。

 スペインを題材にしているからといって、単純にフラメンコギターを登場させたりなどはしない。ここではヴォイスをフィーチャーして恐怖感を出す。フラメンコ独特のあのかけ声である。それが見事なまでにフルオーケストラの中に組み込まれて、サスペンスフルに映像の空気を振動させる。フラメンコギターはほんの数秒流れ、もの憂げで悲しい物語を予感させ、そこにオーケストレーションが
 
 
マーク・マッケンジー
THE DISAPPEARANCE GARCIA LORCA
(輸入盤)

カブってゆく。

 それ自体がほんとうにおいしい音なのだが、そのアトにやって来るサスペンスフルな音によって、今度は音の物語性がくっきりとみえてくる。そんなオーケストレーションが絶品。まさに「映画音楽の蜜の味」とはこのことではないかと思った次第である。 


 

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