「FILM」
「DVD」
「VIDEO」
「SOUND TRACK」
「BOOK」


 
『東映傑作シリーズ・菅原文太 Vo.2』
仁義なき戦い/仁義なき戦い・広島死闘編/仁義なき戦い・代理戦争

森 世一
text by Seiichi Mori
あらゆる形に変化する“あのテーマ曲”
 日本映画の一大金字塔を築いた、いわずと知れた深作作品。以前バップから出たものとは編集を変えてある。ただ、津島音楽の全体像と変化を見るならバップ盤がおすすめである。

 この新盤では「ヨーイスタート」という声から音が始まる。それに加えて劇中におそらくバーで流れる歌謡曲のインストゥルメンタルだと思うが、そんなのも今回は入っている。(あるいはイメージソングか?)

 この映画には確たる映像のリズムがある。やたらと登場人物が多く、それを処理するのにストップモーション、モノクロとカラーの使い分け、加えてナレーションが多用される。ナレーションがこれほど劇映画でうまくいったのも珍らしい。それ自体が、まるで音楽であり映像のリズムを保つ。そして高揚を煽ったまま走り回る津島の『仁義なき戦い』のテーマ曲。時には楽器編成を変え、時には変拍子にもなり、あらゆる手だてで音を変質させてゆく。時にはブルース調、ジャズ調、時にはトランペットの音を拳銃の発射音とも同調させてみせる。まことにカラフルで楽しいのだ。007のテーマ同様に、このテーマイコールこの映画である。

 
 
津島利章
アブソード・ミュージック・ジャパン
2800円
 深作の映画というのは一言で言えばスピードである。このスピードと同調させた津島の音楽はやはり画期的だったと思う。たとえば『代理戦争』の一匹のやくざを演じる渡瀬恒彦の死に至る運命の、泣きの骨子となる映像のスピードにも音楽はシンクロし、ナレーションは音楽となる。しかしながら、この盤では、どのシーンにどの曲が流れるというよりも、テーマ曲の変質をこそ楽しむことにしよう。


 

「スロウトレイン」に掲載の記事・写真・カット等の無断転載を禁じます。© Works m bros.