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『時計じかけのオレンジ(オリジナル・スコア盤)』

森 世一
text by Seiichi Mori
画期的作品はキューブリックのシゴキから生まれた?
 『2001年宇宙の旅』に続く71年のキューブリック作品。マルコム・マクダウェルが強烈な印象を残す。当時も輸入盤LPだけだったウェンディ・カルロスのスコアー盤が、またも輸入盤でCD化。日本盤のサントラはクラシックも入ったコンピレーションで、それでも本作の大部分は聴けるのだが、13分にも及ぶ大作『タイムステップス』が入っていない。マルコム・マクダウェルが強制的に暴力シーンをみせられるシーンで使用された音楽である。

 当時カルロスは、シンセサイザー・ミュージック『スイッチト・オン・バッハ』で世界的セールスを果 たす。しかしそれはバッハのメロディーを単純にシンセに変換したもので印象としては、シンセとはこの程度かというものだった。本作は、音の厚みが格段に増し、複雑で新しい音楽領域にまで達した、高度で非常に画期的なものとなった。それを聴ける音源としての歴史的価値もさることながら、 ここにはさらにキューブリックの映像の音源として刻まれていることの幸せがある。

 本作からクラシックをシンセで置き換える楽しさが、さらに高度なまでに変遷し、
 
 
ウェンディ・カルロス
WENDY CALROS'S COMPLETE ORIGINAL SCORE
A CLOCKWORK ORANGE(輸入盤)
前衛性にまでたどりつく過程がみてとれるのは、まことにもってすばらしい。これは映像が音楽に高いレベルを激しく要求した結果 であろう。バッハのメロディより高度なベートーヴェンの交響曲をシンセでというアイディアは、厳しくかつ実に面 白い。カルロスが本作を達成できたその陰に、キューブリックの顔(シゴキ)がみえてくる。カルロスは『シャイニング』で再度起用されることになる・・・。


 

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