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『キス・オブ・ザ・ドラゴン』

森 世一
text by Seiichi Mori
激しさと哀しみを併わせもつ、ジェット・リーに似合うサウンド
 すべて敵に、まさに1対100の戦いにいどむジェット・リー。まことにすっごい映画だ(今までに一番キュートなブリジット・フォンダが見られるのも魅力)。音楽はまさに“戦うサウンド”、激しいユーロビート風にメロディに乗せて展開する。不思議な緊張感満ちた音で、ヴォーカル曲は1つ。それ以外をPART1〜19の組曲(ほとんど曲間なし!)にしたところにこのサントラの特徴がある。

 先ほども述べたが、ジェット・リーが1歩踏みだせばすべては戦いのシーンになるのだから、音にも“疾走感”が必要。見事なオーケストレーションに、シンセの音がドラムの役割のようにリズムをキザみ、音に厚みを加えていく。そのままダンス・ミュージックに置き換えてもいいようなところもあることはある。ここでの音楽は、リズム=ビート。

 ジェット・リーの戦いは死との隣り合わせなので、そこには哀しみも伴う。
 
『キス・オブ・ザ・ドラゴン』
KISS OF THE DRAGON

輸入盤
クレイグ・アームストロング
英国出身のソングライター、ピアニスト。ロンドンのロイヤル音楽アカデミー在学中に、数々の賞を受賞。卒業後、コンサートや映画音楽に携わる。U2やマドンナの楽曲にもアレンジャーとして参加。映画作品として『ロミオ&ジュリエット』('96)、『ボーン・コレクター』('99)などがある。
この哀しみを表現するための手段として、シンセが効果的に使われているのだ。 こういった手法は、ギリシャ出身のシンセサイザー・アーティスト、ヴァンゲリス・O・パパサナシューあたりが得意とするところ。そして“哀しみ”は、ジャッキー・チェンとは違うジェット・リーの持つひとつのリリシズムと言っていい。 ビートに内包された“哀しみ”。ジェット・リーには、この手のサウンドが良く似合う。

 CDで確かめてみると意外とビートの効いた曲が半分以下ということが確認できた。だが、映画を観賞中は、その手の曲がCDには大半を占められているのだろうと思っていた。それぐらい私には印象に残っていたのだろう。


 

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