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『ラッシュアワー2』

杉森直行
text by Naoyuki Sugimori
無言のクリス・タッカーが生み出す、奇妙なる笑いの世界
  期待を裏切らない面白さとは、本作のことを意味するのだろう。ジャッキー・チェンの映画ほど、文句なしに楽しめる映画もない(対抗できるのはクリント・イーストウッドぐらいだ)。ジャッキーに対してのこのような賛辞は、もはや使い古された表現だが、まずこのように彼に敬意を表することによって、本作のアメリカでの大ヒットを祝いたい。

 このシリーズの人気のもとは、ジャッキーのアクロバティックなカンフー・アクションと、クリス・タッカーのマシンガン・トークが生み出す笑いとの融合にあるが、2人が映画のなかで体験するカルチャー・ギャップが、本シリーズにさらなる魅力を与えている。前作ではジャッキー演じる香港警察の刑事がアメリカで活躍したが、今回はタッカー扮するLA市警の刑事が香港へ渡る。本作の勝因はここにある。香港に黒人がいないわけはないが、数多くの中国人のなかに佇むクリス・タッカーの姿は奇妙な光景である。あれだけオシャベリな彼が口を開かずとも、ただそこに存在するだけで生み出されていくパラドックス的な笑い。そのうえで、辞書を片手にタッカーがヘンテコな広東語を話すのだから、笑いの勢いはエスカレートするばかり。

 対するジャッキーは、前作では堅物からしだいに柔和な人物へとシフトしていったが、本作では終始軽いノリで危険な捜査の渦中へと飛び込んでいく。『シティーハンター』('93)などで垣間見せたコミック調の演技で、ハイテンションなタッカーと強固な笑いの世界を築き上げていく。

 脇役では、ジョン・ローンの起用がうれしいが、チャン・ツィイーの魅力を持て余しているのが残念。クリス・タッカーとの格闘シーンはカットして、もっとジャッキーとのバトルをじっくりと見せるべきだろう。それでも飛び抜けた存在感で自己アピールしてしまうのが、彼女のスゴイところだ。

©2001 NEW LINE PRODUCTIONS,INC.ALL RIGHTS RESERVED.
RUSH HOUR 2
監督:ブレット・ラトナー
脚本:ジェフ・ネイサンソン
出演:ジャッキー・チェン/クリス・タッカー/チャン・ツィイー/ジョン・ローン/ロセリン・サンチェス
2001年アメリカ
1時間30分
配給:ギャガ=ヒューマックス=松竹


●1999年に大ヒットしたアクション・コメディ『ラッシュアワー』の続編。ブレット・ラトナー監督、主演のジャッキー・チェン&クリス・タッカーともに再登板し、香港を舞台に大暴れを見せる。サントラに宇多田ヒカルが参加しているのも話題。


http://www.rushhour2.net/


 

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