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『チャック&バック』

杉森直行
text by Naoyuki Sugimori
ロリポップ・キャンディに見る青年の夢とは?
  痛々しさを伴う笑いとともに、大いなる共感に誘われる友情物語の秀作だ。日本初登場となるミゲル・アルテタ監督は、これが長編2作目の米インディーズ界の注目株。職業俳優を避け、しかもたんなる素人役者ではなく、映画の作り手たちをキャスティングしているところが興味深い。主人公バックを演じるのは、脚本家(本作も担当)のマイク・ホワイト。チャック役には、『アメリカン・パイ』('99)のウェイツ兄弟の弟クリス(兄ポールも出演)。彼らの演技がまた素晴らしい。

 幼なじみのチャックとバックが十数年ぶりに再会。音楽プロデューサーとして活躍するチャックに対し、バックは少年の心のままで、27歳になったいまもロリポップ・キャンディを手放さない。いちばんの親友だったチャックが転校して以来、バックは成長を止めてしまっているのだ。そんな子供の彼を、大人のチャックは疎ましく思ってしまう。

 チャックが暮らすLAにやって来たバックは、ストーカー行為に走る。会社や自宅に押しかけ、待ち伏せや尾行を繰り返す。チャックが会うことを避けると、彼のフィアンセに嫉妬する。だが、これらの行動には卑劣さは感じられない。むしろ、積極果敢にアタックし続けるバックの姿が切なく、感動的ですらある。また、かつて2人は子供の好奇心ゆえにホモセクシュアルな行為に興じていた。終盤、バックはその再現をチャックに迫る。チャックの心も激しく揺れ始める。そして…。ここから先の描写には異を唱える人もいるだろう。しかし、だからこそラストの爽快感が生まれるのである。
CHUCK&BUCK
監督:ミゲル・アルテタ
脚本・出演:マイク・ホワイト
製作・出演:ベス・コルト
出演:クリス・ウェイツ/ルーペ・オンティベロス/ポール・ウェイツ/マーヤ・ルドルフ
2000年アメリカ
1時間36分
配給:K2=日本ビクター


●少年のまま時間の止まってしまった27歳の青年が主人公の異色ドラマ。撮影にはデジタル・カメラを使用し、俳優たちの自然な演技を引き出している。70年代の雰囲気を感じさせる音楽や美術にも注目だ。


http://www.spo-k2.co.jp/


 

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