五木寛之のなんにも話のないベストセラー原作を、御歳89歳の新藤兼人が一から話を作り脚本化。が、五木に二度も書き直しを命じられ、クッソーッと書き上げた脚本を弟子・神山征二郎が先輩を気にしながらも果敢に撮り上げたという、神山の映画の大半についている“文部省推薦”テイストの一作。
新藤は脚本家から出発した人なので、脚本の腕は確かなものがあり、私は彼の脚本はかなり好きなので楽しみに見にいったのだが、正直びっくり。テレビドラマで良かったんでないの?と思ってしまった。一昔前的話の古臭さにも参ったが、それは“文部省推薦”テイストなので、仕方がない、としよう。しかし、そんな中でもさすが!としみじみ思ったのが三國連太郎の“死に顔”の演技。思うに新人でもベテランでも、人間死んだらどんな顔になるか分かってない役者が多すぎると思う。人間死んだらかならず口が開くんですね。テレビドラマ『ビューティフル・ライフ』で、死んでも口をギュッと結んでた常磐貴子の演技もシラけたけど、『こころの湯』でもベテラン朱旭(チュウ・シュイ)が口を結んだまま死んでいた…。でも連太郎は違うゾ。この役のために20キロ減量して、奥歯の入れ歯をはずしての演技だったらしいが、口は半開き、しかも舌まで半開きの口から覗いてて、まるでモノ。そう確実に死が下りてきて人じゃなくて“物”になっていた。名演技。このシーンは息を止めて見てしまったほどだ。
アッ。それとどうも気になったのが、安田成美の紫のアイシャドー。紫の服と合わせてるにしても不自然。体調不良だったのか口元のニキビも、「女優失格よ!」と戸田恵子に言われそうである。 |
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