タイトルの“テルミン”とは、ロシアの物理学者にしてチェロの名手でもあったレフ・セルゲイヴィッチ・テルミンの名前であり、彼の発明した世界初の電子楽器でもある。映画は、その楽器にまつわるエピソードと、活発な演奏活動の最中にKGBによってアメリカからロシアに連行された後に行方不明になっていた博士の足跡も追っていくドキュメンタリーである。
正直言って、このタイトルを聞いたときには“なんのこっちゃ?”と思ってパスしそうになったのだけど、見てみてビックリ。いやー、ワタシャ、泣いたね。
まず、故郷に強制送還された後に強制収容所に入れられて無一文になりながらもかくしゃくとした95歳のテルミンの姿に胸打たれ、華やかな時代に彼が愛した弟子で恋人でもあったクララ・ロックモアとの再会にも、涙!
しかし、それよりなにより泣いたのは、なんといってもビーチ・ボーイズの一員であるブライアン・ウィルソンが楽器テルミンを熱っぽく語る姿だ。私事ながら、ビーチ・ボーイズのサウンドは、若き日のほろ苦い思い出を彩り、自慢じゃないが10数年前には江ノ島のビーチ・コンサートでヘロヘロになるまで踊り、一昨年にウィルソンが来日したときも、ちゃんとコンサートに行っている。そのブライアンが「“グッド・バイブレーション”のコーラスに不気味なテルミンの音を入れたんだ。それを聴いて、みんなはぶっ飛んだね。もう、俺はそれで、イケるって思ったんだ。テルミンは、ほんとブッ飛ぶ音だぜ」って興奮しているんだもの。いやー、ファンとしては感涙、感涙。もちろん、映画を見たあとは、家で久しぶりにビーチ・ボーイズサウンドが鳴り響いております。今年の夏は、♪グ、グ、グッド・バイブレション♪っきゃない! |
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THEREMIN AN ELECTRONIC ODYSSEY 監督・製作・脚本:スティーブン・M・マーティン
出演:レオン・テルミン/クララ・ロックモア/ロバート・モーグ/ラヴィーナ・ウィリアムス/ブライアン・ウィルソン/リディア・カヴィナ
1993年アメリカ
1時間23分
配給:アスミック・エース
●1920年に世界初の電子楽器テルミンを発明した、ロシアの天才科学者テルミン博士。謎のベールに包まれた博士の数奇な運命に迫るドキュメンタリー。多くのミュージシャンも愛したテルミンの不可思議な音色も印象深い。

http://theremin.asmik-ace.co.jp/ |
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