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『OVER SUMMER』

杉森直行
text by Naoyuki Sugimori
刑事アクションに見せかけた、人情味あふれる“家族”ドラマ
 オープニングから、荒々しい息づかいと熱気、そしてどこか懐かしい温もりが伝わってくる。主人公の刑事コンビもクセ者同士で、これは、ちょっと変わったアクション映画なのではないか、という予感と期待が脳裏をかすめる。

 先輩刑事のマイクは、働きぶりは真面目だが、ときどき些細なことでキレてしまうのがネックだ。その相棒で後輩のブライアンはいい加減な性格で、イイ女を見れば捜査などお構いなし。2人は凶悪犯を張り込むため、独りで暮らす老婆のアパートで寝泊りすることになるが、おばあさんは老人ボケのため、彼らを疎遠になっている自分の息子と思い込んでしまう。そこに、情報屋の妹分の女子高生と、シングルマザーの妊婦が絡み、5人はさながら家族のような雰囲気を醸し出していく。刑事アクションが、しだいに人情ドラマへと転化していくことになる。

 とはいえ、アクション・シーンは全編を通じて展開され、特に銃撃戦は壮絶。ディテールへのこだわりやユーモアなどを散りばめ、多彩なスパイスで作品を味つけしていく監督の意気込みに心が躍る。後半、孤児として育ったマイクの孤独感が浮き彫りにされ、それが結末を左右することになるが、そこからが演技派で鳴らしたフランシス・ンの独壇場となる。彼は、近く公開されるジョニー・トー監督の傑作『ザ・ミッション 非情の掟』('99)でも、暗黒街のスゴ腕ボディガードを好演しているので要注目。また、妊婦役のステファニー・ラムが、清潔さのなかにしっとりとした色気を漂わせていて魅惑的だ。
爆裂刑警
監督・脚本:ウィルソン・イップ
主題歌・出演:ミッシェル・アリシア・サラーム
出演:フランシス・ン/ルイス・クー/ロー・ラン/ステファニー・ラム/ライ・ユー・チュン/ジョー・リー
1999年香港
1時間32分
配給:ギャガ・コミュニケーションズ Kシネマグループ


●性格は正反対だが強い絆で結ばれている2人の刑事が、張り込みの最中に出会った人々と交流を深めていく姿を描くドラマ。主演の演技派フランシス・ンをはじめ、実力派俳優が多数共演しているのも話題。


http://www.gaga.ne.jp/oversummer/


 

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