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『極道の妻たち 地獄の道づれ』

加藤久徳
text by Hisanori Kato
高島姐さんは、若さとルックスと“優しさ”で勝負!
 基本構造は、東映本体が作った岩下志麻主演の一連のシリーズと同一のものだ。権力闘争の果てに破滅していく男たちに代わって、その女房たちが銃と刀をとって組の代紋を守る。究極のワン・パターンであり、それは『水戸黄門』をはじめとするシリーズものとなんら変わるものではない。見るものはお約束のワン・パターンを楽しむために劇場に足を運ぶのだから。

 岩下に代わってこのシリーズの姐さんに扮するのは高島礼子。声量がなく、演技者としては大根と思っていたが、4作目になって、すっかり雰囲気が姐さんらしくなってきた。岩下の(1作目のときに見せた)凄味とは別に、高島が表現するのは藤純子にも繋がる女としての優しさ。メリハリのない台詞まわしの欠点は、この優しさの部分でカバーする。ラストの爆発は、アクションが苦手の藤純子が『緋牡丹博徒』で男どもを薙ぎ倒すのと世界は同じだ。洋服と和服をファッション・ショーのように着替える現代センスも岩下には出来ないものだった。高島の若さとルックスの勝利でもある。

 それでも高島主演の『極妻』は単館公開。イメージ的にはVシネマだ。Vシネマは劇場用と比較して安っぽく、キャストも低コストで、内容もつまらないものと相場は決まっていたが、最近は他のヤクザものも含め、グレードが上がってきた。本作もキャストは全国チェーンにかけられるくらいの陣容を揃えている。ユダ的な裏切り者を演じる草刈正雄や好人物の若いヤクザの尾美としのりなど、本来は不似合いなはずの彼らが、例によって人でなしの見本のような組長を演じる中尾彬と絶妙なコントラストでキャメラに納まっているのは買える。高田宏治のシナリオと関本郁夫の演出がはまっているのだ。とよた真帆と雛形あきこもいい演技を見せていると思う。

 女の意地とプライドのせめぎあいが乱れることなく最後まで突っ走るあたり、単館とはいえ、いや、単館に回された制作者たちの腹立たしさが画面に噴き出たというところだろう。そう考えればこの映画は、映画屋の意地と誇りが出来映えに反映された佳作なのだ。
監督:関本郁夫 原作:家田荘子
脚本:高田宏治 音楽:大島ミチル
出演:高島礼子/とよた真帆/雛形あきこ/江波杏子/宅麻伸/中尾彬/西岡徳馬
2001年日本
1時間54分
配給:東映ビデオ


●高島礼子が“極妻”を演じる第4弾。大阪を舞台に、大組織・山背組の内部抗争の中で組長代行の夫の名代として、一家を率いるヒロインの闘いを描く。高島扮する姐さんを慕う若い“極妻”を雛形あきこが熱演し、本作で映画デビューを飾った 。


 

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