ちょっと前に60年代以降の代表的なロック映画を集めた本を作ったが、日本のロック映画は、と考えた時、最初に浮かんできたのは、石井聰亙の映画だった。思えば、82年の『爆裂都市 Burst
City』には、70年代博多の“めんたいビート”のミュージシャンたちが総出演し、商業的な要請ではなく、創造的な目的でロックと映画が結びついた、という意味で、真に“ロック映画”と呼べる作品だったのかも。
そして、“ロックを流せばロック映画”みたいな時代は去り、音楽映画の価値観が変わってきたが、石井監督の55分のこのモノクロの新作も、やはり、“ロック映画”に仕上がっている。子供の頃に、雷を浴びて、爬虫類の気持ちが分かるようになった主人公。成長後は爬虫類専門のペット探偵になり、パワーを充電するときは、エレクトリック・ギターを弾く。そんな彼に挑戦を挑む、謎の電気技師。ナンセンスな対決が、コミカルに炸裂。セリフはほとんどなく、サイレント映画を見るような感覚。今、乗ってる浅野と永瀬の共演。どうってことない話なんだけど、全体のリズムがよくって、映画全体の生理がロック。映像の奥の奥まで、ビートが染み込んでいる。ジム・ジャームッシュの『コーヒー&シガレット』みたいに、シリーズにしてほしい“ロック・サイレント映画”ですねえ。 |
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監督・脚本:石井聰亙 撮影:笠松則通 音楽:小野川浩幸/MACH1.67
出演:浅野忠信/永瀬正敏/有薗芳記/アリ・アーメッド/アベディン・モハメッド/ホセイン・アブドウル/井上潔/小川真
ナレーション:船木誠勝 2000年日本 55分 配給:サンセントシネマワークス=タキコーポレーション
● 幼少の頃の事故が原因で“帯電”してしまった2人の青年の、宿命的なバトルを描き出す異色作。音楽は石井監督作品を数多く手がける小野川浩幸。小野川と石井監督、そして浅野忠信によるユニット、MACH1.67による主題歌も刺激的だ。

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