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『ザ・コンテンダー』

清水 節
text by Takashi Shimizu
打算なき戦略で打ち勝つ、女性副大統領候補の勇姿
 いま、国会をめぐる報道を見ていれば、いまだ日本は後進国であることがよくわかる。どんなに正論を吐いていても、男社会の官僚たちは、田中真紀子外相を女性であることと、田中真紀子であることで忌み嫌う。そのいじめの構図をメディアは嬉々としてドラマに仕立て上げる。そして大衆は、政治家の一挙手一投足、衣装や化粧を酒の肴にして語るもの。その政治家が女性であればなおさら風当たりが強いということは、男尊女卑のならわしを引きずっていないと言えようか。なんとも官僚は姑息で、メディアは狡猾で、大衆は下衆なのだろう。政治の世界が“政策”ではなく“イメージ”で決まるのは周知の事実で、官僚もメディアも大衆も、その特性は容易に変わらない。では、どうしたらいい?

 そんな興味をかきたて、シミュレーションしてくれるドラマが『ザ・コンテンダー』だ。打ち勝つには、戦略を練るべきだ。ただし打算に基づいたものではなく、個人の信条に基づく誠実な戦略。ジョアン・アレン扮する副大統領候補は、過去のセックス・スキャダルを掘り起こされるネガティブ・キャンペーンにさらされてもなお、「仕事とプライベートは一線を画すべき」とノーコメントを貫き通す。バカなマスコミは、潔白なら堂々と釈明すべき、と興奮するところだろうが、彼女は弁明に躍起になるわけでも、相手方の秘密を暴いて立場を逆転しようとするわけでもない。凛とした態度。彼女の打算なき戦略は、周囲に変化を与えていく。

 ただ、残念なのは、姑息で狡猾な連中の只中にいても、彼女は盲目的に副大統領というポジションへ上り詰める憧れがある。それはアメリカンドリームの限界か。映画という理想世界の中でも、やはり、政治は“イメージ”で権力を取ることに精一杯なのか。男も女も“政策”をもってして闘い抜くわけではないアメリカもまた、政治後進国なのかもしれない。
THE CONTENDER
監督・脚本:ロッド・ルーリー
製作総指揮・出演:ゲイリー・オールドマン
出演:ジョアン・アレン/ジェフ・ブリッジス/クリスチャン・スレイター/サム・エリオット
2000年アメリカ
2時間7分
配給:ヘラルド


● 副大統領の座をめぐり、緊迫した心理戦が展開する政治ドラマ。主人公の女性上院議員を、実力派ジョアン・アレンが知的な美しさをたたえながら好演する。彼女は今作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。


http://contender.lycos.co.jp/


 

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