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『ガンシャイ』

加藤久徳
text by Hisanori Kato
憂いだけではない名演技を見せるリーアム・ニーソン
 極度のストレスにより、肉体的にも精神的にも深く傷ついた伝説のオトリ捜査官が主人公の一風変わったクライム・コメディ。精神科医のセラピーを受けるマフィアのボスを主人公に据えた『アナライズ・ミー』の逆を行くものだ。あちらはロバート・デ・ニーロが悩めるボスをドスを効かせて熱演していたが、こちらは憂いを秘めた知性派で、しかも大男のリーアム・ニーソンが大マジメで悩んでいる。演技に臭みがない分、露骨に深刻さが出るから哀れさもひとしおだ。

 彼は同じノッポの大先輩であるゲーリー・クーパーやジェームズ・スチュアートの線を行っている。共にシチュエーション喜劇を得意とし、困難な状況下で美女の援助を受けるキャラを演じる点も共通する(サンドラ・ブロックが正統派的なブロンドでないのが惜しい)。しかし、時代の変遷は先輩2人が決してしなかった演技をニーソンにやらせてしまう。ストレスによる腹痛で下痢に悩まされたニーソンは病院に駆け込み、看護婦のブロックに“浣腸”を施される。自分の身分を偽ることで存在理由を打ち立てて来た男が、赤ん坊のように言うなりになる。美男美女の出会いのシーンにも色々あったが、浣腸での出会いは過去の映画では記憶にない。

 浣腸は一度やらかすと、あまりの気持ち良さにハマルという。苦しみと気持ち良さに身悶えするニーソンのあられもない姿には、その後の未来が予測できるほどのリアリティが見え、さすが名優と感心した。憂いを秘めた演技ばかりが名優の証ではないと教えられる“いいシーン”だった。

 “その後の未来”? 当然、ブロックとの美しいロマンスだ。彼女の白衣の天使ぶりもユニークで様になっていた。映画も佳作。
GUNSHY
監督・脚本:エリック・ブレークニー
製作・出演:サンドラ・ブロック
出演:リーアム・ニーソン/オリバー・プラット/ホセ・ズニガ/リチャード・シフ/マリー・マコーニック
2000年アメリカ
1時間41分
配給:M3エンタテインメント=メディアボックス
5月19日公開


● 伝説の麻薬おとり捜査官が、ストレスを 抱えながらも奮闘する姿を描く。『サイモ ン・バーチ』などのオリバー・プラットら 個性派俳優の共演も魅力。

(C)BUENA VISTA PICTURES DISRIBUTION


 

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