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『ザ・メキシカン』

金子裕子
text by Yuko Kaneko
“新人監督の挑戦”を実現させた名プロデューサーの手腕
 『ザ・メキシカン』はブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが共演するビッグな一作。ストーリーは、裏組織にコキ使われるチンピラのブラピが、伝説の拳銃をメキシコからLAに運ぶことになるが、旅は災難続き。おまけに恋人のジュリアまでが、人質にされてしまうという展開。何をやってもドジを踏むボケたブラピと、気の強いおしゃべりなジュリアのコントラストも、効果的だ。

 しかし、この2大スター共演にしては、インディペンデントなクライム・アクションの風味が漂うから、おもしろい。その原因としては、主なる舞台となるのがほこりっぽいメキシコであること。そしてそこで繰り広げられる拳銃の争奪戦が、痛快ハリウッド・アクションというより、もっと荒っぽくてリアルで、かっこ悪くてユーモラスなこと。そう、ブラピも「この映画には敬愛するサム・ペキンパー監督作品の匂いがしたから出演した」といっているけれど、新人監督ゴア・バービンスキーも“その線”を目指したのだ。まぁ、結果は、ちょっとハズしちゃてるところもあるが、その心意気は買える。

 で、なぜ“新人監督の挑戦”が、大スター出演で実現できたのかといえば、プロデューサーのローレンス・ベンダーの手腕。ベンダーといえば、クエンティン・タランティーノ監督とデビュー作『レザボア・ドッグス』からコンビを組んで売り出したのはつとに有名。その後も『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』をヒットさせてハリウッド・パワーを手中に収めてきた。そのユニークな企画力を評価されてる彼だからこそ、前々から「ペキンパー風の作品を作りたい」という夢を実現できたのだし、ブラピもジュリアも通常よりグーンとお安いギャラでも出演を望んだのだ。斬新な発想にしたたかさが加わった、今年43歳になるベンダー。今後の意欲作にも期待したい。

©2000 DREAMWORKS LLC AND PISTLERO PRODUCTIONS,LLC
THE MEXICAN
監督:ゴア・バービンスキー
出演:ブラッド・ピット/ジュリア・ロバーツ/ジェームズ・ガンドルフィーニ
2001年アメリカ
2時間3分
配給:ギャガ=ヒューマックス
公開中


● 2大スター共演でも話題のラブ・サスペンス。伝説の拳銃“メキシカン”をめぐる騒動を、ユーモアを絡めて描き出す。


http://www.the-mexican.net


 

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