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『スターリングラード』

大森さわこ
text by Sawako Omori
エド・ハリス、こぼれ落ちる色気
 最近、色気の定義が誤解されている。ナイスバディの女や男が、脱げば色っぽい、みたいに思われているのでは。

 でも、そうじゃない本物の色気を久しぶりに見た。この映画の男優には参った。ジュード・ ロウとジョセフ・ファインズ主演。百発百中のスナイパー役のジュード、名誉心と友情のはざまで苦悩するジョセフ。英国美形スターの共演、たしかに目にうるわしいのだが、彼らが光っているのは色気じゃなくて、演技力のほう。英国舞台で鍛えた力を発揮したふたり。

 最も色っぽかったのは、中年のエド・ハリス。ジュードと最後は対決するナチス・ドイツの射撃の名手役。少年をスパイとして使って、ジュードを追いつめる冷徹さ。その軍服姿からこぼれ落ちる色気ときたら。顔の輪郭はくずれていて、お世事にもハンサムとはいえない。スタイルもふつう。頭は昔から薄い。でも、どうしてなの、この色気。

 ツルツル・ピカピカの顔が色気ではない。その崩れ落ちる一歩手前の頽廃美。人間くささと知性をミックスしたダンディズム。それに加えて、動物的なにおいもある。本当の色気はワイン同様、熟成後に生まれるのかも。朽ちる直前の肉の存在が、軍服ごしに妖しく迫る。
 
ENEMY AT THE GATES
監督・製作・脚本:ジャン=ジャック・アノー
出演:ジュード・ロウ/ジョセフ・ファインズ/エド・ハリス
2001年アメリカ、ドイツ、イギリス、アイルランド
2時間12分
配給:ヘラルド
公開中



http://www.stalingrad-movie.com/


 

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