『ママと娼婦』('73)で知られるジャン・ユスターシュが、少年時代に育った思い出の地でロケ撮影して作り上げた青春映画。カメラマンに名手ネストール・アルメンドロスを起用し、素晴らしい映像の美を披露してくれる。ちなみに、ユスターシュは81年に42歳でピストル自殺を遂げている。
主人公の少年ダニエルは、家庭が貧しいために学校を辞めさせられ、働きに出るよう強制される。だが、そんな単調な日常に嫌気がさしたダニエルは、やがてカフェにたむろする少年グループの仲間となる。そして、その日からナンパに明け暮れる日々が始まるのだ。気だるい午後の街頭で。映画館の暗闇のなかで。さらには別の町まで遠征して…。映画は、そんなガールハントに興じる少年たちに焦点を絞り、静かにじっくりと描いていく。
女の子に注ぐ少年たちの視線が妙に熱っぽくて、純粋さのなかにどこか危険な雰囲気が漂っているのがユニーク。そして、その少年期特有の狂おしい欲求は、解消されてもなお肥大し続け、それはユスターシュの念入りな演出によって観ている側にも感染してくる。女の子のあとを追い、はやる気持ちを抑えながら歩調を速めず、どこまでも女の子の後ろを追って歩いていく少年たち。場を盛り上げる常套的なBGMなどは使わずに、地面を踏みしめる靴音と、自然がもたらす風の音色を取り入れ、われわれに少年たちの生々しい息づかいをダイレクトに届けてくれる。74年の作品とは思えないくらいに感動が大きいだけに、死後20年を経た今でも“ユスターシュの不在”が残念でならない。 |
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