レクターを演じるアンソニー・ホプキンスは、世界最高の俳優である。演劇・映画・TVの全ての分野で最高の演技、存在感を発揮できる大物だ。同時に、共演者の長所を引き出すことのできる“生きた教科書”でもある。
『ハンニバル』の重要な舞台であり、ロケ地となるのはフィレンツェ。当然、彼の共演者はイタリア俳優である。刑事を演じる名優ジャンカルロ・ジャンニーニ(写真)。その妻にフランチェスカ・ネリ。殺されるために出てくるスリを演じるのがエンリコ・ロ・ヴェルソ。彼は先頃公開された『いつか来た道』の主役だった。国内では主演俳優である彼らは、ハリウッド映画の本作では引き立て役である。イタリア語を話すことは許されず、トスカーナ訛の英語を喋らされる(それは英国人のホプキンスも同様)。イタリア出身者でなければ難しい芸当だ。しかし、これは画面にエレガンスな緊張感を生む結果を呼んだ。
役者としては同格に近いホプキンスとジャンニーニの絡みの場面は、演技の応酬というより、セックスアピールの応酬に近く、英語であって英語ではない奇妙なトスカーナ語が2人の口から発せられると、エロティシズムまで漂って見える。それは2人の間に一度だけ挟まるフランチェスカ・ネリも同様だった。方言混じりの英語を喋るとイタリア人はいい味を出せるのか? そんなはずはない。この映画においては、“生きた教科書”ホプキンスのオーラが、イタリア人たちを取り込んでしまったと思いたい。
非常に残念だったのは、本来登場するはずのイタリアの殺人鬼が、長いという理由でバッサリとカットされたこと。一度だけ画面に出る、床をモップで磨く男がその殺人鬼である。彼も方言混じりの英語を喋っていたのだろう。 |
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HANNIBAL
監督・製作:リドリー・スコット
原作:トマス・ハリス
出演:アンソニー・ホプキンス/ジュリアン・ムーア
2000年アメリカ
2時間11分・R-15指定
配給:ギャガ=ヒューマックス
4月7日(土)公開

http://www.hannibal.ne.jp/ |
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