天海祐希が女優らしい演技をスクリーン上で観せられるようになってきた。本作の前に竹中直人の『連弾』での主演ぶりを観ているせいもあるが、まともな映画でまともな役が出来るような土壌に進出してきたということで、まずはめでたい。
元宝塚劇団の大スターに向かって皮肉を言うつもりは毛頭ないが、退団後の天海の劇場映画の仕事は“悲惨”の一語に尽きる。クレジットのトップを張りながらロリー・ペティの陰に隠れてしまった日米合作の『クリスマス黙示録』('96)を皮きりに、芥川の名作『薮の中』の空虚な再映画化『MISTY』('97)でのヒロイン役、時代錯誤的な正調仁侠映画『残侠』での女侠役等々、彼女が出演した過去の作品は全て、無価値な失敗作だった。この結果は本人も気にしていたことだろう。20世紀のラストに吟味して出演したと思われる『狗神』と『連弾』は、価値ある仕事である。彼女の役柄は2作とも職業を持つ女性であり、演技力を必要とするもので、『狗神』にいたっては方言を駆使する難しい役どころを彼女はきっちりこなしている。良い脚本と監督に恵まれれば、出来る女優だったのだ。もし、今年もう1本、力作に出演できれば、演技賞も夢ではない。
もう一つの期待は、噂に上がっている日本が舞台の新作007映画に彼女がボンド・ガールとして出演してほしいこと。『クリスマス黙示録』の手痛い失敗を取り返すべきだ。藤原紀香よりは筋はいいと思う。何? 年を食い過ぎている? ミシェル・ヨーよりは若いだろう! |
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