牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた宮崎駿顔のビョーク(病苦)の悲劇を観たあとにペネロペ・クルスを観て、生きる活力を取り戻した。ここには、懐かしきヒロイン映画、あるいはアイドル映画のつくりが詰め込まれている。すでにスペインでは人気スターであるペネロペが好演した『オール・アバウト・マイ・マザー』('99)のヒットを契機に、彼女を一気に次なるハリウッド・ヒロインとしてブレイクさせようという戦略だ。ストーリーなど、さほど重要ではない。
では、なぜいまラテン娘? このところのハリウッド・ヒロインといえば、陰りあるスレた感性や、ビッチな魅力が主流だった。壊れたアメリカを体現させるにはうってつけのキャラではあるけれど、思考させ、欲情させるばかりが銀幕の役目じゃない。ハリウッドが当面ペネロペに求めているのは、エキゾチックな美女。続く、マット・デイモン、ニコラス・ケイジ、ジョニー・デップらとの共演作の数々でも、そんなキャラが期待されているようだ。
けれど、彼女の演技力には、もっと幅がある。ジェニファー・ロペスやキャサリン・ゼタ・ジョーンズに内在する記号とは明らかに異質で、もっと健全でいて、知的な魅力に溢れている。楽天的で激情にまかせるラテンの生き様を懸命に演じる、つたないスペイン訛りの英語の愛くるしさを堪能しつつ、ここしばらくは、アイドルが育ち、日々変転していくプロセスを楽しむとしよう。 |
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