香港映画が得意とする人情喜劇の佳篇である。もっとも、香港製喜劇というのは、どんなに笑わせても最後にはホロリとさせるのが原則だから、得意というのは不適当だ。ブラックな笑いで最後にドキリとさせる知的なコメディなど記憶にない。金を稼ぐことと美味しい食事をとることが生きがいのような中国人は、涙と笑いで気持ちを明るくさせる単純なものでなければ納得はしない。
『流星』はその条件を100パーセント満たした作品だ。内容は実に分かりやすい。株で金を稼ぐことに疲れたレスリー・チャンが捨て子の赤ん坊を拾い、子育てに生きがいを求めるという話だ。監督・製作のジェーコブ・チャンが、チャップリンの無声時代の名画『キッド』('21)を現代香港の下町に舞台を移し変えたもので、リメイクと呼べるほど内容的に酷似している。
しかし、人物の性格をマイムで単純化した無声の『キッド』とは違い、トーキーの本作では多種多様な人物に性格付けが成され、国土的にはちっぽけな香港に住む人々の生活環境の違いも鮮やかに浮き彫りする。今の香港のクールさもよく出ていて、気軽にホロリと出来ないところもいい。
『キッド』のクーガン少年より年下の4才であるエリクソン・イップの表現豊かな無垢な演技を始め、レスリーも母親役のキーキーも、出演者は皆好演している。ワンマンのチャップリンがしなかったことがズラリと揃っており、もはやリメイクにあらず、オリジナルだと思う。 |
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